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早わかり民法改正(相続法改正を中心に) [法律案内]

今日は民法改正について解説します。

 「民法改正」というのは,いくつかのパートに分かれています。
 
1 最近の大きな改正は「3つ」

  まず,大づかみにつかみましょう。
  3つの改正がありました。 

 ① 債権法の改正

   まず,一番の大改正は「契約」などについての改正です。
   債権法の改正というのがこれで,2020年4月1日に施行されます。
   この内容は過去のブログ記事で書きました。
   時効制度の単純化,不動産賃貸ルールの明確化などです。
  3つのポイント https://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
  不動産賃貸関係 https://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2017-09-29

 ② 成人年齢 18歳に

   民法の成人年齢が,現行の20歳から18歳に引き下げになります。
   18歳からもう「未成年」でなくなります。
   カードの契約でも,借金の契約でも親と関係なしに自分ですることができます。
   契約した場合「未成年」を理由に取り消すことはできなくなります。
   これには色々問題があると思いますが,今日は深入りはしません。
     (問題点を指摘した昔の記事 https://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2009-01-21
   2022年4月1日施行です。
   
 ③ 相続法の改正

   これが,今年7月に国会で成立した改正です。
   相続についても変わります。  
   原則として2019年7月12日までに施行とされています。
   上の①②よりも先に新しいルールが始まります。
   今日は,以下でこの相続法の改正について解説します。

2 相続法の改正
 これだけは知っておきたい5つのポイントを簡単に解説します。
 
 ① 配偶者の居住権
 たとえば,お父さんが亡くなって,相続財産は,家(土地建物)と預貯金他というケース。
 お母さんが家に住んでいる。
 子どもたちはそれぞれ独立して家を出ているということがよくあります。
 これまでは,もし,お母さんが家に住む権利を保障しようと思うと,家をお母さんに相続させるということを考えることが多かったのです。

 ただ,高齢のお母さんの場合,そのときの相続で「父→母」としても,いずれ近いうちに「母→子ら」の相続が起こります。
 二段階の相続をしなければならないのもいろんな意味で大変であるし,また,遺産の評価額の大半が家である場合(つまり,家はあるが「お金」がない場合)に相続方法が難しくなります。

 こういう窮屈な状態を打開する方法として,「配偶者居住権」という制度が創られました。
 
 新法では,家の「所有権」は子どもに相続させるが,母には「配偶者居住権」という権利を得させる,という方法が使えるようになります。
「配偶者居住権」は権利として金銭評価される(たとえば,3000万円の家に終身住み続ける権利として,1500万円など)ので,その権利でもって母(亡くなった人から見ると妻)の相続とする,という風な解決が可能になります。

 要するに「私はもう高齢だし,家の所有権なんか必要ないわ。亡くなるまでここに住めさえすればいいだけ。」という願いを形にするものです。
 よりなめらかな相続が可能になるように意図された改正です。

 ② 遺産分割に関する見直し

 特に影響が大きいのは,相続が起こった後の「預貯金の払い戻し」についてです。
 平成28年12月19日の最高裁決定で,原則として,預貯金について遺産分割をしなければ払い戻しできないことになりました。
                関連記事 https://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10
 この最高裁決定に従うと,相続が起こって(つまり誰かが亡くなって),すぐに葬儀費用などの支払いが必要だが預貯金が引き出せなくて困る,ということが考えられます。

 そこで,民法の新909条の2は,「各口座ごとの預貯金額×3分の1×その相続人の法定相続分」又は政令による上限額までは,遺産分割前でも各自が引き出せることにしています。
 もちろん,引き出した分は後日の遺産分割のときに精算します。
 その他,遺産分割についていくつかのルールが変更されたり,整備されたりしています(一部分割の明文化,遺産分割前の処分された遺産を全員の同意によって分割対象にすることなど)。 

 ③ 遺言制度の見直し
 
 自筆証書遺言について,法務局に保管する制度ができます。
 遺言を書いたけれども家の中で厳重に保管しすぎて誰にも発見されなかった,という事態が起こりにくくなります。
 
 また,自筆証書遺言でも,遺産の目録(不動産の所在,地番,地積など細かいことをたくさん書く必要がある)については自筆でなく,ワープロ打ちでも可とされるようになります。
 これは合理的で,高齢者にとって助かることでしょう。

 ④ 遺留分に関する見直し

 これは,法学部の学生さん向けの話になると思います。一般の方は軽く読み飛ばして結構です。
 新法では「遺留分減殺請求」とは呼ばず,「遺留分侵害額請求」という呼称に変わります。
 名前が変わっただけではなく,従来の「物権的効力」(遺留分減殺請求は,家でも土地でも現物を返還請求できる効力があった)から,金銭請求に変わります。
 遺留分の算定にあたって,相続人に対する贈与については10年以内のものに限って参入するようになります(現行は10年に限らず全期間)。

 ⑤ 相続の効力(登記の必要)

 ここも興味の無い方は読み飛ばして結構です。
 不動産の相続が現実に迫っている方,士業の方,ロースクール生,法学部生の方は読んでください。

 これまで,相続の場合に「登記」がなければ第三者に自分の権利を主張できるかできないか,は相続の方法によって異なっていました(遺贈・遺産分割の場合は登記が必要,相続分の指定・遺産分割方法の指定「相続させる」遺言の場合は不要)。
 それが,新法では,相続の方法によらず,法定相続分を超える権利を得る場合には「登記」がなければ第三者に自己の権利を主張できない,ということになりました。
 「登記」が従来より大事,ということです。

3 おわりに
 以上を押さえておけば「相続法」改正について,一応把握している,と言えると思います。
さらに自分のことに関係がある方,法律を勉強している方は,本や他のサイトで勉強していただければと思います。


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民事裁判の本人尋問・証人尋問とは何か [法律案内]

 今回の記事では,弁護士に依頼して民事裁判に臨む,という場合で,

本人尋問・証人尋問

が行われるケースについて解説します。

 裁判で行われる尋問ってどんなものだろう?というのは,特に,初めて裁判に臨む場合には(といっても,ほとんどの方がそうでしょう),とても知りたいが,なかなか一口で説明が難しいことなので,できるだけ平易に書いてみました。



1 尋問は「人証」

 裁判の資料になる「証拠」には2種類あって,「物証(物的証拠)」と「人証(人的証拠)」に分かれます。

 「物証」は,書類(「書証」)や,データファイル,や物そのもの(傷害事件の「凶器」など)です。

 「人証」は,「人がしゃべる内容」です。
 今回のテーマ「尋問」というのがまさに「人証」です。

 
 裁判を進めていると,裁判官が

「双方の主張はある程度出尽くしたので,そろそろ『証拠調べ』に入りたいと思います。」

などと言うことがあります。

 そもそも,裁判は,

「お互いの主張」→「対立点(争点)の見極め」→(争点について)「証拠調べ」

という整理の仕方,進め方をします。

 で,上の裁判官の台詞の中での「証拠調べ」なのですが,ここでいう「証拠調べ」は,書類を調べたりすること(物証を調べること)ではなくて,人証(本人尋問・証人尋問)のことを意味していることがほとんどです。

 というのは,書証(書類)などの「物証」は,「そろそろ」もなにも,裁判所に提出されたらすぐに調べることが可能なので,普通調べ終わっています。

 双方の主張が出尽くしたので「そろそろ」「証拠調べ」,と裁判官が言ったら,それは,本人尋問・証人尋問をしましょう,ということです。

2 「本人」「証人」とは?
 さて,では「本人」「証人」とは何でしょう? 
 
 「本人」というのは裁判の当事者です。つまり,「原告」か「被告」のことを言います。
 「原告」か「被告」が会社などの法人である場合は,その代表者(代表取締役など)も「本人」です。
 ですので,「原告」「被告」そのものに対する尋問は,「証人尋問」ではなくて「本人尋問」といいます。

 「証人」というのは,「本人」以外で事件について証言する者です。
 
3 「証人」はどちらの味方?
 法廷ドラマでは,「証人」というのはドキドキする存在で,どっちの味方になるか分からない,大どんでん返しもある存在として描かれることがあります。

 しかし,日本の民事裁判では「証人」と打ち合わせをすることは許されているし,むしろ,事前に「証人」が何を言うのか,「証人」が味方となる側から「陳述書」を出すように裁判所に言われます。

 こうなると,「証人」は事前にどっちの味方か分かっている,という話になります。実際そうです。

 ですので,基本的に,原告は原告に有利な「証人」を呼び,被告は被告に有利な「証人」を呼びます。「原告側証人」「被告側証人」という言い方をしたり,自分の敵となる証人を「敵性証人」と呼んだりもします。

 ですので,法廷ドラマであるような「スリル」は通常ありません。

4 何を言うのかは事前に分かる~「陳述書」

 上で「陳述書」を事前に出す,ということを書きました。
 これは,本人が供述する内容,証人が証言する内容を,事前に「陳述書」という文書にまとめて裁判所に提出する,ということです。

 そうすると,

もう法廷で口でしゃべらなくても「陳述書」を読めば分かるのでは?
法廷はシナリオ通りでつまらないのでは?

という疑問がわきます。
 それもある程度当たっています。

 「陳述書」には,限られた尋問時間で口で正確に言い尽くせない部分を補う意味があります。口で表現できる人,それが苦手な人がいますからね。

 それと,裁判の準備という点で重要な「陳述書」の意味合いは,「相手が反対尋問の準備をするために必要」というものです。
 この「反対尋問」について,次で述べます。

5 主尋問・反対尋問・補充尋問
 尋問については,たとえば「原告本人」「原告側証人」については,

(1) 主尋問
    まず,原告代理人弁護士が質問します。

(2) 反対尋問
    次に,被告代理人弁護士(敵側の弁護士)が質問します。

(3) 補充尋問
    裁判所が必要と思う点を補充的に質問します。

 基本的にこの流れです。
 
 主尋問の内容は「陳述書」である程度分かっているから,確かに,「シナリオ通り」という面があります。

 裁判で,本人の供述や証人の証言が信用できるかのチェックとして特に重要と考えられているのは「反対尋問」です。

 つまり,敵側の弁護士の尋問に対しても,耐えられるような供述や証言になっているか?が試されるのです。

 証人について「陳述書」を出さない時代も昔ありましたが,そのときは,主尋問の期日と反対尋問の期日を分けていました。一人の証人を調べるのでも2回の期日を要しました(数ヶ月かかります)。
 なぜかといえば,主尋問が終わって,主尋問の内容を記述した調書ができて,それを敵の弁護士が読んで反対尋問の準備(敵の証人のどこを突っ込むかの準備)をしていたからです。
 現代は,主尋問の内容は「陳述書」で予め分かるようにしておいて,尋問期日の前に敵の弁護士も反対尋問の準備をすることを前提にして,一人の証人について主尋問・反対尋問を一日で出来るように裁判は進められています。
 これが「陳述書」は反対尋問の準備のため必要な意味がある,ということの説明です。

6 尋問の打ち合わせ(リハーサル?)
 尋問というのは法廷その場のものだから,事前に打ち合わせなんかしていいのか?

 それは口裏合わせではないのか?

という疑問もあり得るところです。

 しかし,尋問の打ち合わせは「あり」ですし,むしろ周到にするべきとされています。

 特に,主尋問の内容は,今の弁護士は「一問一答式」でシミュレーションを作って準備します。
 発表会ではないので「リハーサル」という言葉には私は若干抵抗がありますが,「一問一答式」で当日の尋問の進め方を丹念にチェックしてから臨みます。

 敵の弁護士から訊かれる「反対尋問」の準備は,想定で行うことになります。
 これは予想しきれないので,ある程度,争点に関連して「突っ込まれることが目に見えているところ」(多くはそこが「弱点」です)について,無理のない答えを用意します。
 「無理のない」ということが重要で,「嘘をつきましょう」という準備はしません。
 
 尋問の打ち合わせはなかなか時間がかかることが多いものです。

 なお,打ち合わせでは「一問一答式」の想定問答を作ることが多いですが,それは本番では見ながらやるわけにはいきません。
 「空(そら)」では答えられない細かいことなどは,尋問中に,必要に応じて弁護士が書面を示したりしながら質問することになります。

7 当日
 そもそも当日どんな服で行ったらいいの?という質問もよく受けます。

 スーツもいいですし,セーターなどのラフなスタイルでも構いません。
 ただ,法廷という場なので,できるだけ落ち着いた印象の服装がいいと思います。華美なものは避けるほうが無難でしょう。
 
 尋問前に(嘘を言わないという)宣誓書に署名押印する必要があるので,本人・証人の方は印鑑を持参してください。忘れても大丈夫ですが,その場合は指印をする必要があります。

 上記6で述べたように,メモなどを見て答えることはできませんが,尋問は記憶に従って述べるものなので心配する必要はありません。
 「知らない」ことは「知らない」でよいですし,「分からない」ことは「分からない」で問題ありません。
 細かい数字などが分からないのも仕方ありません。どうしても,細かいことを答えてもらわなければならないときは,弁護士が書類を示して尋ねます。

 なお,「証人」については,他の「証人」の尋問のときには法廷に同席できないのが原則です。待合室など別室で待つことになります。
 これは,「証人B」が先に出た「証人A」の言ったことに合わせてしまう弊害を避けるためです。

 尋問のときに,たまに,弁護士と本人・証人が「言い合い」のようになることがあります。
 しかし,尋問は,「問い」に「答える」という形で進みますから,本人・証人が「問い」と無関係に意見を言う,というものではありません。
 「問い」と無関係の意見などを述べると裁判官から注意されることがあります。

8 尋問の結果は「調書」に
 現代では,ほとんど,「問い」「答え」がそのまま音声反訳の形で(ですから,関西弁は関西弁のままで)「調書」になります。
 後日読むことが出来ます。

9 終わりに
 以上が「尋問」についての手続きの解説です。

 「尋問」に立たなければならない当事者の方は,「尋問」はとても気が重いといわれる方が多いです。
 が,私の弁護士19年の中で経験した限りでは,法廷の尋問中に耐えられずに倒れてしまった方という方はいません。
 むしろ,始まるまでは気が重かったが,実際,当日始まってしまうと「あっという間だった」という方が多いです。
 気が重いのは確かかもしれませんが,必ず乗り越えられます。

 「尋問」の目的は,必要な事実を法廷に出すことです。
 よく「相手を言い負かしてほしい」と言われる方もいらっしゃいます。気持ちは分かるのですが,「尋問」では「相手を理屈で言い負かす」必要はありません。
 反対尋問では,相手方からでも「当方に有利な事実」を一つでも多く引き出すのが目的です。
 そこで引き出した事実(材料)を組み立てて「理屈」を述べるのは,「尋問」の中ではなく,後日,裁判所に提出する主張書面で行います。

 以上です。
 この記事が,裁判のクライマックスである「尋問」に臨む当事者の方の理解を助け,不安を取り除くことに役立てば幸いです。
  
 
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不動産賃貸と民法改正 [法律案内]

 平成29年5月に,民法が大きく改正されました。
 120年ぶりの大改正といわれています。
 まだ,改正法の施行時期は決まっていませんが,平成32年までには施行されることになっています。

 今日は,この民法改正によって,不動産賃貸業がどう変わるか?を解説したいと思います。

 地主さん・大家さんにとっても,借主さんにとっても,知っておいて頂くべき内容です。

1 多くの改正条文は,「判例法理の条文化」です。
  
 どういうことかというと,民法が変わっても,今とルール変更はない。
 今まで,民法の条文には書いてなくて,「判例」で決まっていたものが条文に明記されるようになったものが多いということです。

ア 物件所有者の変更の場合
 
 賃貸物件の所有者が変わった場合,原則として,賃貸人の地位も新所有者に引き継がれる
(この場合,賃借人の承諾は不要。
 なお,新所有者が賃借人に「私が貸主だ」と主張するためには登記が必要。)
 
 旧民法(現行民法)  条文なし。判例。
 新民法        605条の2,605条の3

イ 敷金

 敷金とは? 
→「いかなる名義をもってするかを問わず,賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で,賃借人が賃貸人に交付する金銭」

 旧民法        条文なし。判例。
 新民法        622条の2第1項

 敷金返還請求権は,明け渡しの時に発生する。
 未払い賃料などに当然に充当される。

 旧民法        条文なし。判例
 新民法        622条の2第1項,第2項

★ ただし,未払い賃料がある場合の,物件の譲渡にともなう賃貸人の地位の移転の場合の敷金承継の処理は,判例ルールが変更されている。
 もっとも,現在の実務でも,すでに新民法のような処理をしていることが多いです。
  
 旧民法 判例         敷金額から未払い賃料を引いた金額が承継される
 新民法 605条の2第4項  敷金がそのまま承継される(賃料未払いがあることは,物件の売買代金決定のときに反映しておく=その分,売買代金を安くしておく)

ウ 退去時の原状回復義務

 カーペットの摩耗や壁紙の汚れなど,通常損耗の範囲のものは,原則として,賃借人が原状回復費用を負担しない。 

 旧民法        判例
 新民法        621条

2 ルール変更にあたるものもあります。

ア 存続期間の延長
 
 賃貸借期間の上限は現行20年 ⇒ 改正後 50年に (新民法604条)

 ゴルフ場,太陽光パネル設置を目的とした敷地など,現代の土地使用の在り方にあわせた。

イ 用益違反の損害賠償請求権の時効

 賃貸借物件の用益違反による損害賠償請求権について,返還時から1年間は時効の完成を猶予すると規定された(新民法600条2項)。

 改正民法では166条で時効は,「権利を行使することができることを知ったときから5年間」または「権利を行使することができるときから10年間」で完成するとしています。
 ですが,長期の賃貸借契約の場合は,貸主としては,途中で「用益違反」があることを知ることができない場合があるので,問題があったときから10年たっていても「返還時から1年間」は時効にならないことにした,とされています。

3 改正民法の適用時期
 
 原則として,

 改正民法の施行日よりも前に締結された賃貸借契約  ⇒ 旧(現行)民法に従う
 
 改正民法の施行日以後に締結された賃貸借家約    ⇒ 新(改正)民法に従う

です。


 以上,主だったところをザッと解説しました。

 大体どんな改正?といわれたとき,不動産賃貸について,大きな内容としてはだいたいこの程度を頭に入れておけば十分だと思います。

 もちろん,細かく言えばもっと改正点はあります。興味のある方は,民法改正について書かれた本が多数出ているのでそちらをご参照下さい。

                                 
 神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹
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相続の各種手続を楽に~「法定相続情報証明制度」H29年5月より [法律案内]

 経験されたことのある方はよくおわかりだと思いますが,

相続が起こった後の,不動産・預金などの各種手続は,全く「もめていない」相続でもなかなか煩わしいもの

です。

 というのが,例えば,お母さん(Aさん)が亡くなったとして,相続人は,お父さん(Bさん)と2人の子ども(Cさん,Dさん)だったとしましょう。

 この場合,

Aさん → B,C,Dさん

という風に,不動産の登記や預金の名義を移すわけです。

 で,このときの相続関係について

Aさんの生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(婚姻などで,戸籍が変わっている分全て)

で証明することになります。

 この戸籍謄本の束を,

不動産登記
各銀行
農協
郵便局
各証券会社

に提出して回るということになります。
 各手続で戸籍謄本は「原本」を提出するよう求められます。
 戸籍謄本を役所から発行してもらうにもお金が掛かるので,「原本」を何通も発行してもらうことは余りなく,戸籍謄本の束をもって,X銀行,次は,Y銀行,次はZ銀行と回っていくということになります。

 これは「一仕事」です。

 私たち弁護士事務所であれば,こういった手続業務には慣れています,日頃やっていることです。
 が,それでも,資産の種類が多い方の相続については手続だけでも「それなりの事務作業量」という感じがします。

 とすると,こういうことに慣れていない人(大半の人がそうでしょう)がこの作業をやると,本当に「一仕事」です。

 
 で,この各種手続を随分楽にしてくれる制度が「法定相続情報証明制度」です。

 今年の5月からすでに始まっています。

 詳しくは,法務省のページ↓
 http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
  
 
 これは,相続のための各種手続にいちいち戸籍謄本の束をもっていかなくてもよいようにする,という制度です。

 まず,法務局に,一回だけ

被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等

を提出します。
 それによって,法務局で登記官が,

文書認証⽂付きの法定相続情報⼀覧図の写し

必要な数だけ,無料で交付してくれます。

 そうすると,この「一覧図の写し」を必要な数だけ使って,亡くなった方の取引のあった銀行,証券会社等の全てに,同時に,相続の手続ができるというわけです。

 世の中で人を苦しめるものの一つが「必要以上に煩わしい」という不合理ですが,これを制度の進歩によって合理的にすることは,「人への愛」そのものだと思います。
 この制度はとてもよい制度だと思います。

 相続は誰しも関係があるので,新しく始まったこの制度のことを多くの方に知って頂ければと思います。
                                   


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RadiCro 第9回  [法律案内]

私が担当するインターネットラジオ番組の7月号です。

 こちらから ↓
 http://www.kobeseaside-lawoffice.com/radio

 今回は、税理士の原崇浩先生をゲストにお招きして、

相続についての 法務 と 税務 の基本

をトークしました。

「相続が発生したら、一体何をどうするの?」という問いに、弁護士と税理士がそれぞれのパートを解説しました。

番組では初めてのコラボ企画でしたが、他分野の専門家と一緒に何かを創るということは、とても刺激のあることだと感じます。

   神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹

民法改正~債権法改正法成立 [法律案内]

 共謀罪法案が一番の焦点だった今国会ですが,5月26日に,民法の一部を改正する法律(債権法改正法)が成立しました。
 公布から3年以内に施行だそうです。

 何が改正されたのか?
 大切な改正ポイントを3つ紹介します。

1 消滅時効
  
 これが大きいです。
 今まで消滅時効といえば,種類毎に細かく分かれていました。
  
 私が所属する神戸シーサイド法律事務所のHP中の解説↓
  http://www.kobeseaside-lawoffice.com/soudan/1490/

 これが,単純化され,

 債権一般の消滅時効は,原則として…

  権利を行使し得ることを知ったときから 5年
  
 あるいは
  
  権利を行使し得るときから 10年
 
 のいずれか早い方となりました。

2 法定利率

 これは以前の記事でも書きました。

http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-11-28 民法改正されたら~法定利率は3%からの変動制

 現在の民法所定の法定利率は年5%です。
 たとえば,借金をして遅延した場合には何も定めがなければ年5%の遅延損害金を払わなければなりません。
 年5%の金利は,今の経済状況ではものすごく高いですよね。

 改正法では,法定利率は,まず年3%となります。その後は,「緩やかな変動制」になります。経済情勢によっては上下するということになります。

3 個人保証人保護

 保証人になって,本来自分の借金出ないのに,本来の債務者(「主債務者」といいます)がお金を払わないから,自分も破産しなければならなくなった,というケースは多いのです。

http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2008-09-12 石井慧GJ!(グッジョブ!)~保証人なるな!

 こういう実情もどうか?という点があって,

 事業用貸金債務についての保証について,

保証の意思があるという旨を公正証書で公証人に表示するルール

ができました。

 保証人になってくれ,といわれて「よしわかった」という場合でも,公正証書を作らなければならないというルールの中で,じっくり考える機会を持たせたほうがいい,という改正です。

 「保証」は,自分が借金を負ったと同じ意味を持ちますから,ね。


 以上です。
 特に「時効」ルールの変更などは大改正です。
 民法は基本の法律です。
 ですので,この改正内容について,私たち弁護士は当然熟知しなければなりませんので,勉強!です。


 


RadiCro 第8回  [法律案内]

私が担当するインターネットラジオ番組の6月号です。

 こちらから ↓
 http://www.kobeseaside-lawoffice.com/radio

 今回は、

・3:30頃~ ニュースのツボ「教育授業料の無償化について」
・17:50頃~ 法律相談「主婦の交通事故について」

です。

 教育費無償化は現在,与党野党ともに積極的に議論する状態になっています。

 どれくらい国のお金が要るのか?
 財源はどうするのか?
 「憲法改正」と関係があるのか?

についてトークしています。

 交通事故については,主婦の場合に「休業損害」「逸失利益」をどう考えるのか?をメインに解説しました。
  
   神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹


RadiCro 第6回  [法律案内]

私が担当するインターネットラジオ番組の4月号です。

 こちらから ↓
 http://www.kobeseaside-lawoffice.com/radio

 今回は、

・2:30ころ~ ニュースのツボ「共謀罪について」
・19:40ころ~ 法律相談「遺産相続について」

です。
  
 前半は,今国会で争点になっている「共謀罪」。
 みなさんは,賛成?反対?
 「警察に強力な権限を与える」ことが犯罪防止に役立つかも知れない,という反面,一般市民も(私もあなたも)監視される対象になるかも知れない(それをどれだけ甘受するか),という視点からこの法案を考えてみよう,という話。

 収録途中,スタジオセットの設置型マイクの先端部分を私が誤って引っこ抜いてしまうというハプニングがありました(それで音声が乱れています)。
 
 後半は,「遺産分割」(相続)の問題です。
 これはオーソドックスな事例を取り上げました。
 当事者同士で話し合いができない場合は,通常,家庭裁判所の調停を利用します。
 そこで行われる遺産分割の基本的考え方を解説しました。
 不動産はどう分けることが多いか?など。


   神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹


裁判所と弁護士会の共同企画~交通事故研修会 [法律案内]

 先日(3月末),私が所属する兵庫県弁護士会で

交通事故訴訟の研修会

がありました。
 弁護士向けの研修会です。

 私は,この研修会のパネルディスカッションで,「被害者側弁護士」の立場でパネリストを務めました。

 この企画は,弁護士会と裁判所が共同して企画したものです。

続きを読む


訴訟は本人で出来るか? [法律案内]

 私が司法修習生のころ、指導担当をしていただいた弁護士の方から勧められて読んだ本(の最新版。初版は20年以上前だと思われる)です。


訴訟は本人で出来る

訴訟は本人で出来る

  • 作者: 石原 豊昭
  • 出版社/メーカー: 自由国民社
  • 発売日: 2015/03/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 民事訴訟の手続について、とても分かりやすく書かれた本です。
 司法修習生はプロの卵なのに、「素人向け」の本なんか読んでいるのか!と思われるかも知れません。
 が、しかし、弁護士になる前の司法修習生が読んでもとても勉強になる、というより、通常の民事訴訟の手続きを解説したプロ向けの本よりも短時間で読めて、かつ、ポイントは押さえてある、という良書です。
 今でも、司法修習生の方や、民事訴訟の手続の大筋について勉強したい法律事務所事務員の方などにもオススメできる本だと思います。
 「法律の『プロ』『セミプロ』でも、まずはこの本から」という感じです。

 もちろん、実際に、弁護士が「この本を見ながら仕事をする」なんてことはまずないでしょう。
仕事をするときにはもっと「格式張った」専門書を参照することになります。
 仕事をするときに参照するのは、その仕事に関係する部分だけですので、「分厚い本」の一部分を読むことになります。

 一方、まだ具体的な仕事以前の段階での勉強ならば、「一部分を参照する」のではなく、「全体を読む」ことになるでしょうから、これくらい「噛み砕いた本」でもいいですし、「分厚い本」よりも「薄い本」のほうが取り組みやすいですね。

 まとめると、

仕事用 → 分厚い本が良い
勉強用 → 薄い本が良い

ことが多いですね。これはどの分野でも言えることでしょう。

 
 さてさて、今日のブログのタイトルの問い「訴訟は本人で出来るか?」の答えは、紹介した本のタイトル通り、

訴訟は本人で出来る

でOKだと思います。

 ただし、この答えは、

パソコンは自分で作れる

家は自分で建てられる

コーヒーは自分でいれられる

受験勉強は塾や予備校に行かなくてもできる

などと同じような意味です。

 訴訟も自分で出来ないことではないので、状況によって「自分で」「弁護士をつけずに」やるという選択肢はあります。
 
 そのメリットは、

・ (誰に意見されることもなく)自分の思うとおりにやることができる
・ 弁護士費用がかからない

という点です。

 デメリットは、

・ 書面を作成するなど、手間暇がかかる。
・ 訴訟のルールなどを勉強しなければならない。
  訴訟のルールなどを知らないために不利になることもある。
・ 裁判の期日に自分で出て、連絡は直接自分が受けるのでストレスが大きい。
・ やっていることがおかしくても、(弁護士のアドバイスがないので)気づきにくい。
・ 孤独な戦いになる。

という点です。

 これを裏返すと「弁護士に事件を依頼することの意味」になります。

・ 訴訟対応を弁護士に任せて、自分は本来の仕事などに専念できる。
・ 弁護士が事件に関する連絡「窓口」になる。紛争の相手と直接話をせずに済む。
・ 方針について、弁護士のアドバイスが得られる。
・ 専門家と一緒に話し合い、作戦を立てて戦える。

 これらのことがあなたにとって重要かどうか、「費用を支払ってでも弁護士に依頼する」値打ちがあるかどうか?を考えるということになります。

 ということですから、私たち弁護士は、

・ 「この人になら任せられる」という存在(事件を解決する能力、人格などが関係する)
・ 「この人となら一緒に戦っていける」という存在(コミュニケーション能力、色んな人の立場を理解する力・想像力などが関係する)

であることに値打ちがあるということになります。
 弁護士は、こういう存在であるように日々研鑽し続ける必要がある、良い心身のコンディション作りをし、法律関係はもちろん社会に関する色んな面の勉強をし続けなければならない、ということになります。

 先日司法試験の記事を書きましたが、試験にパスして資格を得たら「依頼する値打ちのある弁護士」になれるわけではありません。
 試験にパスしてから、「依頼する値打ちのある弁護士」になるように、また、そういう弁護士であり続けるようにいつまでも努力し続けなければならない、というのが弁護士の仕事です。
 
 以上は、私が司法修習生のときからずっと考えていることですが、初心忘るべからずで、これからも努力を続けていきたいと思っています。


神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹



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