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不貞相手に「不貞についての慰謝料」は請求できます! [法律案内]

 2019(平成31)年2月19日の最高裁判決について
 
 “不倫相手に離婚の慰謝料請求できず” 最高裁が初判断

などの見出しのニュースが流れています。

 最高裁判決そのものはこちら ↓

最高裁HP  http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88422  
判決書pdf http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/422/088422_hanrei.pdf


 新聞などをしっかり読まなければ,法律に詳しくない人は誤解しかねないニュースですので,簡単な解説をします。

1 不貞(不倫)相手に不貞の慰謝料は請求できます!
 
 これは,今回の最高裁判決の内容と関係ありません。

2 「慰謝料」の整理

 この話で出てくる「慰謝料」には2種類あるのです。  

 ①「不貞(不倫)についての慰謝料」 
   文字通り,不貞行為(不倫)をしたことに対する慰謝料です。
   責任を負うのは,
    不貞行為をした配偶者(妻ありながら不貞をした夫,逆もあり) 
          と
    不貞相手
  との両方です(連帯責任)。

 ②「離婚についての慰謝料」
 これは,不貞行為そのものの話ではなくて,「離婚になったこと」に対する慰謝料です。
 これについて,最高裁は,不貞相手に対して請求できない,と判断したというものです。

3 最高裁判決の理解

 不貞行為をされた配偶者は,不貞相手に対して

 「不貞についての慰謝料」は請求できるけれども,

 「離婚についての慰謝料」は請求できません

という意味です。
 不貞は違法な行為ですので慰謝料が発生します。これは今までと変わりません。
 ただ,「離婚」をするかどうかは夫婦で決める問題なので,第三者である不貞相手が「離婚」の慰謝料を払う,ということは原則ない,という考え方です。

4 慰謝料の額

 「不倫の慰謝料の相場は300万円だ」などと書かれているサイトもあります。
 正確に言えば,「相場が300万円」とは一概に言えず,継続的な不貞の場合「200~300万円」を一応の相場と考えるかなという感覚ですが,ケーズバイケースで,実際の解決は50~500万円くらいまで事情によって決まる,というところです。
  
 ここで相場が「300万円」とか「200~300万円」とか言っている「慰謝料」は「不貞についての慰謝料」のことです。

 ですから,これは,今回の最高裁判決と関係なく,不貞相手に請求できます。

5 不貞慰謝料請求の時効(3年,民法改正で5年へ)

 今回の最高裁判決で,「離婚の」慰謝料が特に争われたのは事情があります。

 「不貞の」慰謝料請求の時効は,

損害 及び 加害者を知ったとき

から3年です(民法724条)。
 
 なので,「不貞行為・相手を知ったとき」から3年です(発覚まで時間差があれば,「不貞行為から3年」ではありません)。

 最高裁のケースは,発覚からこの3年を過ぎていたために,不貞行為に「不貞の」慰謝料請求について「時効の壁」があった,という事案です。
 そこで,「離婚についての」慰謝料を請求した事案です。

 一部の報道で,不貞の慰謝料の「時効のスタート」が「不貞発覚時か離婚時か」の問題だ,という解説がされていたとのことですが,それは不正確です。
 不貞の慰謝料の「時効のスタート」は「不貞発覚時」です。

 時効が3年であることについては,不貞の場合は,確かに短いかもしれません。
 民法724条の条文は,一般的な不法行為(一番多いのは交通事故)のときに,損害が確定したら3年以内に請求してください,そうしないと時効になりますよ,という条文です。

 ですが,夫婦間の問題は,

「不貞が分かったから,すぐ裁判」

という種類のことではありません。毎日の生活に直接関係することですから,パートナーの不貞を知ったからといって,不貞相手に慰謝料請求するかどうかを3年以上悩み続けることは十分にあることです。
 なので,知ったときから3年で時効消滅,というのは不貞をされた人に気の毒な気はします。
 が,現在の法律の定めはそうなので,それに従う必要があります。

 なお,民法改正の結果,2020年4月1日施行の「新民法」(2020年4月1日以降の不貞行為)では,

知ったときから5年  

になります。5年と3年では大違いですね。

6 まとめ

 ともかく,この最高裁判決のニュースのために,「不貞相手に慰謝料請求できなくなった」と誤解する人が出ないように,と思います。

 もう一つ言えば,たとえば,不貞相手が(不貞の)慰謝料を払ったとしても,

パートナー自身が不貞をして婚姻関係を破壊したとした,その慰謝料(「離婚についての慰謝料」)

は別物として存在する,という考え方が,この最高裁判決をきっかけにより明確に意識されるようになるのではないか,と予測します。



   

  
      
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