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ピアノは贅沢な楽器!~「羊と鋼の森」(宮下奈都) [音楽は素晴らしい]


羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

  • 作者: 宮下 奈都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/02/09
  • メディア: 文庫



 ピアノとは,何て贅沢な楽器でしょう!

 私は5歳から高1の初めまでピアノを習っていました。

 私が小学校低学年の頃から,年に1回うちにきて,何時間かかけて,同じ音をひたすら鳴らしている職人のおじさんがいました。
 「チョウリツシ」と親に教えてもらいました。意味も教えてもらいましたが,本当に「チョウリツシ」の仕事に意味があるのか,私は実感できませんでした。

 さて,小学校3年くらいだったでしょうか,私の生家である篠山の家で,夜寝ていると,ある真夜中にピアノ室からピアノの音が聞こえてくるような気がしました。
 そんなわけはない,と思ってやり過ごして,次の日,やっぱり聞こえてくる気が。「気が」というより,明らかにピアノが鳴っている。怖い。
 余りの怖さに自分で見に行くことは出来ず,朝が来てから母親に,「真夜中にひとりでに鳴るピアノの音」の話をしました。
 母親は最初「そんなわけあるはずないやん」とか「あなた最近ちょっと疲れているのよ」みたいな反応でした。
 
 もう,「現場」を押さえるしかない,と思って,夜ピアノが鳴ったら母親を引っ張っていって見てもらおう,と思いました。
 
 で,夜が来て,私はピアノの音が鳴るのを待ち構えました。
 すると… 真夜中にやはり,「ぽろんぽろん」とピアノの音が。
 きた。
 私は母親を起こして,「ピアノの部屋」に連れて行きました。
 しかし,部屋に行くと,もちろん誰も居ませんし,ピアノも鳴りません。
 母親は「ネズミかなんかおるんとちゃう?」と言い,私が「ネズミがピアノ弾くわけないやん」と言い,結局,もやもやのまま時は過ぎます。

 そんな状態で1,2週間たったときでしょうか。
 私がピアノの練習をしていると,鍵盤の跳ね返りが悪い鍵が1つ現れます。
 1つくらいならまだましなのですが,日に日に「跳ね返らない鍵」の数が増えていき,もう練習にならない状態になってしまいました。

 その間も「真夜中のピアノ」はあったように思います。
 私は「真夜中のピアノ」をきいていましたが,他の誰も信じてはくれませんでした。

 さて,「真夜中のピアノ」はともかく,ピアノの鍵が跳ね返ってこないのでは練習できないので,親が「チョウリツシ」を呼んでくれました。

 「チョウリツシ」さんが,ピアノの蓋を開けて点検すると…
 ピアノの「内部」が食い荒らされていたのです。
 そして,「内部」にネズミの死骸があった,と「チョウリツシ」の報告。

 母の「ネズミ」説が真実だったし,私の「真夜中のピアノ」について「チョウリツシ」のおじさんは「そういうことが他でもちょくちょくある」と認めてくれました。
 ネズミが鍵盤を叩いていたのではなくて,ピアノの「内部」に入り込んで直接に音を鳴らしていたようです。

 そこから私の年齢が上がり,だんだん,ショパンの「子犬のワルツ」とか,「ピアノを習っている子」の弾く曲を弾くようになっていきました。
 それとともに,「調律師」さんが毎年丁寧に仕事をしてくれていること,音程を微妙なところで調整してくれていること,話としてよく理解できるようになりました。
 ただ,正直,私は調律をしたから音が良くなったかどうか,音程が良くなったかどうか,それは分かりませんでした。
 ですが,半日がかりで,「ど素人」にすぎない私や弟のためにピアノの調整をしてくれる「調律師」さんの存在には,申し訳ないくらいに「ありがたい」と思っていました。

 後に,高校時代,ロックバンドをやるようになり,ギターやベースを友達に触らせてもらうようになります。
 ピアノと違って,ギターやベースは自分でチューニングする楽器。
 自分でチューニングする友達は「サバイバル」能力が高そうな感じがして,格好良く見えました。
 一方,ピアノではそんなことはできず,「チューニング」は,「調律師」の職人仕事に頼るしかありません。
 ピアノは,本当に,王様のように贅沢な楽器です。

 当時,「弦楽器は俺やったことないねーん。」と言っていましたが,ピアノも内部は弦楽器。
 鍵盤を指で押さえると内部の装置の動きによって弦が弾かれる。
 普通「鍵盤楽器」に分類されるピアノは,ものすごく「ハイテク」な弦楽器ともいえます。
 
 さて,この小説は,駆け出しの調律師の視点で,「調律」という世界が描かれた物語です。
 調律,といっても,音を整然と整えるだけでなく,弾く人の求めている音をどう実現するか,「欲しい音」をどう作るか,また弾く人の個性にあわせて一番いい「調律」とは何かを探求していく,奥の深い世界です。

 その中で主人公が大好きなピアニストの卵がいて,調律師としての主人公の成長と,ピアニストや家族の物語がリンクして進んでいきます。

 ピアノは贅沢な楽器。
 この小説も,心の栄養という意味で,何とも贅沢な小説のように思えました。
 素敵な作品でした。

 以上,少し早い,今年の「夏の読書感想文」でした。
 
 映画化もされているようです。音楽好きな人や,そうでもないけど心の栄養が欲しい人など,みなさんにお勧めの1冊です。 
 
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「NEW ELITE ニューエリート」(ピョートル・フェリクス・グジバチ) [読書するなり!]

 ブログをなかなか更新できない日々が続きました。

 さて,サッカーワールドカップが開幕し,日本は見事なスタートを切りました。
 私もにわかにサッカーファンです。

 昼からコロンビアコーヒーを飲んで観戦に臨んだ第1戦は,見事に勝利。
 セネガル戦は2回のビハインドを執念で追いつきドロー。
 1勝1分の勝ち点4は素晴らしいの一言です。

 さて,次は第3戦ポーランド戦。決勝トーナメント進出の期待が高まります。

 というポーランド戦に備えて,ポーランド出身のピョートルさん著の本を読みました。


ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち

ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち

  • 作者: ピョートル・フェリクス・グジバチ
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2018/02/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 グーグルでは,昔ながらの日本の会社勤めとは随分違った働き方で,個々の能力をフルに活かす,今までに無かったものを創造する,という仕事の世界がつくられているようです。

 有名大学を出て,有名企業に入って,長時間労働・長い会議…これを何年もやりこなして出世するというのが「昔ながらの日本の会社勤め」イメージでしょうか。
 私は,こういう在り方で「しっかり頑張れる」人自体は決して嫌いではないです。ある種の頼もしさは確かにあります。

 しかし,この本を読んで,いわば「グーグル流」に近い視点からすれば,「昔ながらの日本の会社勤め」流の弱点は,

とにかくしんどいのに耐えてがんばっているから,それでいいんだ

という一種の「甘え」に繋がりやすい,というところだと思います。

 つまり,

・ 仕事をする一日,何時間をかけて,自分は何を産み出したのか?
・ 仕事の大きな目的のために,従来のやり方(長時間会議に全員が出るなど)は合っているのか?
・ もっと早く動けるのではないか?
・ より創造的な在り方の可能性があるのではないか?

など,神経を研ぎ澄ますべきことを,「鈍感力」でスルーしてしまう傾向に陥りやすい弱点があると思います。
 もちろん「旧来の日本」流でバリバリ働きながらこれらのことをちゃんと考えて色んなものを創造するビジネスマンもたくさんいますが。

 この本は私が仕事をする上で,その姿勢という意味でとても勉強になりました。

 第2章は「つねに学び,自分をアップデートする」方法が具体的に書かれています。

 第4章「会議・チーム作りはアウトプットから逆算する」では,固定メンバー・全員参加型の会議方法にこだわらず,
「アウトプットに不要なメンバーは会議に呼ばない!」
「会議は1回で全てを終わらせる!」
という実際的なチーム運びや,
「『質の高い質問』から雑談を始めてメンバーの価値観を知る」
という,やや「深い」関係の作り方などが書かれています。

 自分を高める,人と協同する,の両方について,とても視野を広げてくれる本でした。

 幅広く,ビジネスマン,学生さんにお勧めの1冊です。






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