So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

「事業承継」法務とは? [弁護士業について]





 最近,弁護士,司法書士,公認会計士,税理士などの「士業」では,「事業承継」というのが流行語になっています。

 会社経営者の方,自営業の方などは,われわれ「士業」がときどき

「事業承継セミナー」

などをやっているチラシなどを目にすることもあるのではないでしょうか?

 言葉は聞くけど,「事業承継」法務として,弁護士などは一体何をしてくれるの?という感じの方が多いのではないでしょうか。

 今日は,このテーマを簡単に,平たく解説してみたいと思います。

 「事業承継」ということばそのものは,読んで字のごとくで,

 現在の経営者 → 誰かへ承継

という問題のことです。
 
 承継すべき「誰か」とは誰か?
 大きく分けて3種類といわれます。

1 親族
2 従業員
3 社外へ(M&Aというものです)

 私が相談を受ける中では,「2 従業員」へというのは稀で,「1 親族」へというのが多く,「3 社外へ」というものが続きます。
 また,「承継」できる条件が整わないので,廃業ということもあります(それは悲しいことともいえるのですが,特に「破綻」とは限らず,まあ,現在の社長が引退するのにあわせて,それを機に「たたむ」か,という普通の感じのことが多いです)。

 「1 親族」への承継という場合,「相続」問題とからんできます。
 会社の経営権ということになると,一番大事なのは「株式」になります。

 ぼんやり考えると,「代表取締役」の地位が一番大事というイメージがします。
 それも「間違い」とはいえませんが,「代表取締役」の地位の根源は「株式」なのです。

 株式をもっている = 会社の所有権 です。
 株主総会は「国会」みたいなもので,会社における最高の決定権を持ちます。
 取締役の選任,解任などみな,株主総会の多数決で決まります。
 
 そこで,普通は,

株式数の多数を誰が保有しているか=誰が会社を支配しているか

となるわけです。
 なので,親族内での事業承継を考えるとき,誰の株式が何株あって,それがどう引き継がれていくか,を考える必要があります。
 会社を継がせたい人が株式も多数保持できるようにしないと,会社経営は不安定になります。

 応用編として,「種類株式」の活用 というテーマが出てきます(株式の中にも,「議決権のない」株式とか,色んな種類が有り,ケースによって活用できます)が,ここでは割愛します。

 で,多くは会社を継ぐ子が「お父さんの会社の株を相続する」ということが多いのですが,ここで,

「その株(お父さんの会社の株)は何円なのか?」

ということがよく問題になります。
 大抵は上場会社ではないので,「何円と評価するか」が問題になります。

 「相続税との関係で」と言われますが,より根本的に,より弁護士が関わる問題としては「相続」そのものの問題として浮上します。

 例えば,長男が会社を継ぐ,株も全部継いだとして,では,他のきょうだいは代わりに何円分の財産をもらえば公平になるのか?などの問題です。
 遺産分割,遺留分という形で問題になります。
 
 こういうのが裁判になると非常に厄介なことが多いので,「株価」のことも考えた上での承継計画が必要になります。揉めないようにスムーズに事業承継するために,生前贈与をしたり,遺言を活用するなどの方法があります。
 これには,弁護士がチェックする法律的な面と,公認会計士,税理士がチェックする税金の面と,両方の検討が必要です。 

 もちろん,事業そのものの引継ぎに必要な後継者教育なども大事です。

 こういうことを経営者は何歳から考えて計画すべきか?
 中小企業庁の「事業承継ガイドライン」によれば,

「経営者が概ね60歳に達した頃には事業承継の準備にとりかかることが望ましく,またそのような社会的な認識を醸成することが大切である」

とのことです。

 「人生100年時代」ですから60歳というのはバリバリ元気なわけですが,しかし,私の経験からしても,「衰えが出てから事業承継の準備をする」というのはなかなかキツいことが多いですし,「事業承継」やその計画を立てるために必要なことをするのにも,心身ともに元気なときのほうが良い計画が立てやすいです。

 なので,「60を過ぎたら事業承継の準備」というのは正しいと思います。
 60代で事業承継に必要なことをやっていく,という感じで良いと思います。」

 この文章を読まれると「うわー色んなことをしなければならないんだなあ」と気が遠くなられたかたもおられるかも知れません。
 確かに,色々やることはあるのですが,「1つずつ」「ワンステップずつ」が大切です。
 何年か掛けて,「1つずつ」必要なことをやっていけばできます(だからこそ,60過ぎからできれば理想です)。

 現実には,例えば,株式を贈与して事業承継そのものに必要なことを行う前提として,会社自体を「誰かが引き継げるような会社」にしておくことが必要です。

 お父さんが,「自分がやっている分にはいいけれど,息子に引き継がせることはしんどすぎて申し訳ない」という部分があれば,先を見据えて整理していくことも必要でしょう。

 また,業務の「見える化」が必要といわれます。
 中小企業には,個々の従業員それぞれの仕事ぶりがブラックボックスのようになっている(それゆえ,会社全体としても色々ブラックボックスだらけになる)ケースも多いですが,これは承継する人が非常に困ります。
 これは親族に継がせる場合でも大変ですが,そうでなく「外部」に事業を売却するなどの場合では,「見える」業務の在り方でないと全く「売り物」になりません。

 そうして「誰かが継げる状態」に会社業務をした上で,「継がせたい」誰かに継いでもらう,これが「事業承継」のプロセスになります。

 以上のような感じで,「事業承継」法務は,本当にその企業それぞれの実情にあわせて必要なことを計画し,必要な手続をしていくという内容になります。

 ですので,我々弁護士としても,訴訟事件などとはだいぶイメージが異なり,

・ 計画を立てる コンサルタント的な面
・ 必要な他士業と連携して進める コーディネーター的な面
・ 契約書や遺言作成など必要な法的手続を行う 本来的な意味で,法律家らしい面

とが複合した仕事になります。

 「事業承継セミナー」などではどうしても「これを知っておくだけで…」という売り文句になりますが,なかなか,万人に効く「特効薬」や「必殺のメソッド」みたいなものはなく,個々の事情をよく伺って,それにあった「オーダーメイド」の計画を立てて仕事をしていくことになります。
 
 「承継」について「怖いから考えないことにする」というのは不安感が余計大きくなることが多いので,気になったら弁護士等にご相談頂き,スムーズな承継に必要なことを見極めて,1つずつでも実行していくと憂いがなくなり,「今の」経営も上手くいくことに繋がると思います。

 事業承継については,弁護士に相談するとして,はじめから「まとまったお金が要る」というものではなくて,「まずは相談から」というものです(最初は相談料だけです)ので,お気軽に相談頂ければと思います。


nice!(5)  コメント(1) 

nice! 5

コメント 1

ayu15

事業継承は後継者がいたとしてもいろいろ大変なのですね。

素人には相続の時 親が会社経営をしていて、子が受け継ぐ意思があるとき
弁護士
司法書士
税理士
その他
誰にどこまでお願いするのかわけがわからなくなるかも。

また契約トラブルも不安になります。


by ayu15 (2018-08-30 19:58) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。