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台風21号被害 [くらしと安全(交通事故その他)]

 先週の台風21号被害はすさまじいものでした。

 停電もあり,家屋が損壊する被害や,物が飛んでいって何かにぶつかるなどのこともあり,台風関連の相談も何件か受けています。

 
 関空の被害,孤立化は思いもよらなかったことです。事務所HPの私のコラムで

「台風21号被害,神戸-関空ベイシャトル(弁護士 村上英樹)」
https://www.kobeseaside-lawoffice.com/staff/2817/

を書きました。

 2012年に私が神戸-関空ベイ・シャトルの運営会社の民事再生申立事件を申立代理人として担当したときに,ベイ・シャトルの存続理由の一つに「災害時の海上ルートの確保」という意見があったのを覚えている。ただ,本当に今回のようにベイシャトルが関空からの唯一の移動手段になるなどとは,そのときは私も正直余り想像しなかった事態だった,という内容です。

 ベイ・シャトルのレギュラーの2艘の船「うみ」号「そら」号のほかに,予備船「かぜ」号もフル回転して,非常時の関空からの移動手段として動いている現状は,災害時に海上ルート(船,航路)を維持しておくことがとても役立つことがあることを示しています。

 ただ,一方で,船便・航路は維持するのにとてもお金のかかることですから,結局,社会全体として「災害時の備えとしてどれだけのコストを受け入れるか」という問題です。

 
 また,今回の台風の場合では,JRの運休発表が非常に早かったのも印象的でした。
 仕事をしなければならない立場としては,電車の運休はバッドニュースで,「できるだけがんばって運行してほしい」と思うものですが,実際の台風21号の威力,被害の度合いからすれば,早期に運休とした措置は適切だったと思いました。

 台風・地震ともにそうですが,平常時には「そんなこと起こらない」と考えたほうがコストも削減できるし,世の中効率的に回ります。
 が,やはり,平常時から「備え」に一定のコストをかけていくことが回復不可能な被害を防ぐことになるし,それを受け入れる心が必要なのだ(社会全体に,ですが,私自身にも)と感じました。


 災害についての法律相談というのも各弁護士会でやっています。
 
 また,被災者向けの相談でなくても,私たち弁護士の場合は日常の依頼者からの相談であっても「災害がらみ」ということがあります。

 たとえば,顧問企業からの相談でも,「被災地の工場が稼働できないため,被災地外の工場の稼働時間を増やす必要がある。その場合の労働条件変更について相談したい。」というようなことがあります。
 こういう課題を解決していくことでも,災害復興に寄与していくことができます。

 災害があったために生じたトラブルの相談でも,人の不安な心をいくらか軽減することができます。

 私は被災地に直行することができませんが,自分に出来る形で,災害被害の回復に役立っていければと思っています。
 
 
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民事裁判の本人尋問・証人尋問とは何か [法律案内]

 今回の記事では,弁護士に依頼して民事裁判に臨む,という場合で,

本人尋問・証人尋問

が行われるケースについて解説します。

 裁判で行われる尋問ってどんなものだろう?というのは,特に,初めて裁判に臨む場合には(といっても,ほとんどの方がそうでしょう),とても知りたいが,なかなか一口で説明が難しいことなので,できるだけ平易に書いてみました。



1 尋問は「人証」

 裁判の資料になる「証拠」には2種類あって,「物証(物的証拠)」と「人証(人的証拠)」に分かれます。

 「物証」は,書類(「書証」)や,データファイル,や物そのもの(傷害事件の「凶器」など)です。

 「人証」は,「人がしゃべる内容」です。
 今回のテーマ「尋問」というのがまさに「人証」です。

 
 裁判を進めていると,裁判官が

「双方の主張はある程度出尽くしたので,そろそろ『証拠調べ』に入りたいと思います。」

などと言うことがあります。

 そもそも,裁判は,

「お互いの主張」→「対立点(争点)の見極め」→(争点について)「証拠調べ」

という整理の仕方,進め方をします。

 で,上の裁判官の台詞の中での「証拠調べ」なのですが,ここでいう「証拠調べ」は,書類を調べたりすること(物証を調べること)ではなくて,人証(本人尋問・証人尋問)のことを意味していることがほとんどです。

 というのは,書証(書類)などの「物証」は,「そろそろ」もなにも,裁判所に提出されたらすぐに調べることが可能なので,普通調べ終わっています。

 双方の主張が出尽くしたので「そろそろ」「証拠調べ」,と裁判官が言ったら,それは,本人尋問・証人尋問をしましょう,ということです。

2 「本人」「証人」とは?
 さて,では「本人」「証人」とは何でしょう? 
 
 「本人」というのは裁判の当事者です。つまり,「原告」か「被告」のことを言います。
 「原告」か「被告」が会社などの法人である場合は,その代表者(代表取締役など)も「本人」です。
 ですので,「原告」「被告」そのものに対する尋問は,「証人尋問」ではなくて「本人尋問」といいます。

 「証人」というのは,「本人」以外で事件について証言する者です。
 
3 「証人」はどちらの味方?
 法廷ドラマでは,「証人」というのはドキドキする存在で,どっちの味方になるか分からない,大どんでん返しもある存在として描かれることがあります。

 しかし,日本の民事裁判では「証人」と打ち合わせをすることは許されているし,むしろ,事前に「証人」が何を言うのか,「証人」が味方となる側から「陳述書」を出すように裁判所に言われます。

 こうなると,「証人」は事前にどっちの味方か分かっている,という話になります。実際そうです。

 ですので,基本的に,原告は原告に有利な「証人」を呼び,被告は被告に有利な「証人」を呼びます。「原告側証人」「被告側証人」という言い方をしたり,自分の敵となる証人を「敵性証人」と呼んだりもします。

 ですので,法廷ドラマであるような「スリル」は通常ありません。

4 何を言うのかは事前に分かる~「陳述書」

 上で「陳述書」を事前に出す,ということを書きました。
 これは,本人が供述する内容,証人が証言する内容を,事前に「陳述書」という文書にまとめて裁判所に提出する,ということです。

 そうすると,

もう法廷で口でしゃべらなくても「陳述書」を読めば分かるのでは?
法廷はシナリオ通りでつまらないのでは?

という疑問がわきます。
 それもある程度当たっています。

 「陳述書」には,限られた尋問時間で口で正確に言い尽くせない部分を補う意味があります。口で表現できる人,それが苦手な人がいますからね。

 それと,裁判の準備という点で重要な「陳述書」の意味合いは,「相手が反対尋問の準備をするために必要」というものです。
 この「反対尋問」について,次で述べます。

5 主尋問・反対尋問・補充尋問
 尋問については,たとえば「原告本人」「原告側証人」については,

(1) 主尋問
    まず,原告代理人弁護士が質問します。

(2) 反対尋問
    次に,被告代理人弁護士(敵側の弁護士)が質問します。

(3) 補充尋問
    裁判所が必要と思う点を補充的に質問します。

 基本的にこの流れです。
 
 主尋問の内容は「陳述書」である程度分かっているから,確かに,「シナリオ通り」という面があります。

 裁判で,本人の供述や証人の証言が信用できるかのチェックとして特に重要と考えられているのは「反対尋問」です。

 つまり,敵側の弁護士の尋問に対しても,耐えられるような供述や証言になっているか?が試されるのです。

 証人について「陳述書」を出さない時代も昔ありましたが,そのときは,主尋問の期日と反対尋問の期日を分けていました。一人の証人を調べるのでも2回の期日を要しました(数ヶ月かかります)。
 なぜかといえば,主尋問が終わって,主尋問の内容を記述した調書ができて,それを敵の弁護士が読んで反対尋問の準備(敵の証人のどこを突っ込むかの準備)をしていたからです。
 現代は,主尋問の内容は「陳述書」で予め分かるようにしておいて,尋問期日の前に敵の弁護士も反対尋問の準備をすることを前提にして,一人の証人について主尋問・反対尋問を一日で出来るように裁判は進められています。
 これが「陳述書」は反対尋問の準備のため必要な意味がある,ということの説明です。

6 尋問の打ち合わせ(リハーサル?)
 尋問というのは法廷その場のものだから,事前に打ち合わせなんかしていいのか?

 それは口裏合わせではないのか?

という疑問もあり得るところです。

 しかし,尋問の打ち合わせは「あり」ですし,むしろ周到にするべきとされています。

 特に,主尋問の内容は,今の弁護士は「一問一答式」でシミュレーションを作って準備します。
 発表会ではないので「リハーサル」という言葉には私は若干抵抗がありますが,「一問一答式」で当日の尋問の進め方を丹念にチェックしてから臨みます。

 敵の弁護士から訊かれる「反対尋問」の準備は,想定で行うことになります。
 これは予想しきれないので,ある程度,争点に関連して「突っ込まれることが目に見えているところ」(多くはそこが「弱点」です)について,無理のない答えを用意します。
 「無理のない」ということが重要で,「嘘をつきましょう」という準備はしません。
 
 尋問の打ち合わせはなかなか時間がかかることが多いものです。

 なお,打ち合わせでは「一問一答式」の想定問答を作ることが多いですが,それは本番では見ながらやるわけにはいきません。
 「空(そら)」では答えられない細かいことなどは,尋問中に,必要に応じて弁護士が書面を示したりしながら質問することになります。

7 当日
 そもそも当日どんな服で行ったらいいの?という質問もよく受けます。

 スーツもいいですし,セーターなどのラフなスタイルでも構いません。
 ただ,法廷という場なので,できるだけ落ち着いた印象の服装がいいと思います。華美なものは避けるほうが無難でしょう。
 
 尋問前に(嘘を言わないという)宣誓書に署名押印する必要があるので,本人・証人の方は印鑑を持参してください。忘れても大丈夫ですが,その場合は指印をする必要があります。

 上記6で述べたように,メモなどを見て答えることはできませんが,尋問は記憶に従って述べるものなので心配する必要はありません。
 「知らない」ことは「知らない」でよいですし,「分からない」ことは「分からない」で問題ありません。
 細かい数字などが分からないのも仕方ありません。どうしても,細かいことを答えてもらわなければならないときは,弁護士が書類を示して尋ねます。

 なお,「証人」については,他の「証人」の尋問のときには法廷に同席できないのが原則です。待合室など別室で待つことになります。
 これは,「証人B」が先に出た「証人A」の言ったことに合わせてしまう弊害を避けるためです。

 尋問のときに,たまに,弁護士と本人・証人が「言い合い」のようになることがあります。
 しかし,尋問は,「問い」に「答える」という形で進みますから,本人・証人が「問い」と無関係に意見を言う,というものではありません。
 「問い」と無関係の意見などを述べると裁判官から注意されることがあります。

8 尋問の結果は「調書」に
 現代では,ほとんど,「問い」「答え」がそのまま音声反訳の形で(ですから,関西弁は関西弁のままで)「調書」になります。
 後日読むことが出来ます。

9 終わりに
 以上が「尋問」についての手続きの解説です。

 「尋問」に立たなければならない当事者の方は,「尋問」はとても気が重いといわれる方が多いです。
 が,私の弁護士19年の中で経験した限りでは,法廷の尋問中に耐えられずに倒れてしまった方という方はいません。
 むしろ,始まるまでは気が重かったが,実際,当日始まってしまうと「あっという間だった」という方が多いです。
 気が重いのは確かかもしれませんが,必ず乗り越えられます。

 「尋問」の目的は,必要な事実を法廷に出すことです。
 よく「相手を言い負かしてほしい」と言われる方もいらっしゃいます。気持ちは分かるのですが,「尋問」では「相手を理屈で言い負かす」必要はありません。
 反対尋問では,相手方からでも「当方に有利な事実」を一つでも多く引き出すのが目的です。
 そこで引き出した事実(材料)を組み立てて「理屈」を述べるのは,「尋問」の中ではなく,後日,裁判所に提出する主張書面で行います。

 以上です。
 この記事が,裁判のクライマックスである「尋問」に臨む当事者の方の理解を助け,不安を取り除くことに役立てば幸いです。
  
 
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新ホームページ(主に会社「顧問弁護士」について) [弁護士業について]

 神戸シーサイド法律事務所のホームページとは別に,新しく,

弁護士村上英樹 個人のホームページ

主に,最近私の業務の比重として増えてきた,企業法務についてのホームページ

を作りました。


 「弁護士 村上英樹」 https://www.hideki-m.com

 
 実際に今私の行っている「企業法務」というのは,主に,地元の会社,自営業者の相談業務,契約書作成・チェック,債権の回収,トラブルの対応などです。
 
 会社・自営業者の「顧問弁護士」というのは,おおよそ月3~5万円の顧問料で,継続して,そのクライアントの日々の相談事,契約の点検などをする,という仕事です。
 電話・面談も随時できますし,最近は,顧問先との相談のやりとりはメール(+電話)で行うことがほとんどです。

 これから企業法務について益々力を入れていきたい,ということで新ホームページを立ち上げました。
 が,神戸という街の規模の場合は,大事務所でも弁護士一人事務所でも,「企業法務だけ」とか「個人法務だけ」ということは通常ありません。
 私も,「企業法務」にも力を入れていきますが,新人時代から数多く取り扱ってきた交通事故・相続など「個人向けの法務」も変わらず力を入れて取り組んで行きます。

 
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映画「ああ栄冠は君に輝く」 [息抜き!?]

http://www.eikanhakimini.com/
ああ栄冠は君に輝く~加賀大介物語~ 知られざる「全国高校野球大会歌」誕生秘話

ああ栄冠は君に輝く~加賀大介物語~ 知られざる「全国高校野球大会歌」誕生秘話

  • 作者: 手束 仁
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 映画公式 http://www.eikanhakimini.com

 いよいよ,夏の高校野球,甲子園始まりました。
 今年は第100回記念大会,初日から超満員です。
 最近,アメトークの影響もあってか,甲子園の観客の入りが凄いですね。

 私も大会初日,第三試合 慶應義塾vs中越の試合を観に行きました。
 今年担当した司法修習生が慶應義塾高校の出身だった関係で,一緒に慶應アルプスに入れてもらいました。私も慶應関係者になりきって,慶應ボーイたちと肩を組んで応援しました。
 試合は9回劇的なサヨナラ勝ちで,湧き上がるアルプスの中,野球観戦というか応援を堪能させてもらいました。
 
 さてさて,続いて,本日は映画を観てきました。
 これも縁あって知り合った方が製作に関わられた作品で,夏の甲子園の大会歌「栄冠は君に輝く」の歌詞を作った人の物語です。
 
 「栄冠は君に輝く」の作詞は「加賀道子」とされているのですが,本当の作詞者はその夫の「加賀大介」であり,その「加賀大介」さんの物語です。
 
 加賀大介さんは,野球が大好きな少年でした。
 いつも裸足で野球をしていたのですが,あるとき足に傷を負ったのをそのまま処置しないでいたところ化膿して骨髄炎にまで悪化し,片脚の膝下を切断せざるをえなくなり,野球ができなくなってしまいます。
 その後,加賀大介さんは文筆家になるのですが,昭和23年に朝日新聞社が夏の全国高校野球選手権大会の大会歌の歌詞を募集したところに応募します。
 自身は野球ができないのですが,野球をしていたときの感覚,夢中で野球をする少年たちの姿などから一気に書き上げ,「栄冠は君に輝く」が誕生します。
 理由(これは,興味ある方は本,映画などで)あって妻「加賀道子」名で提出したところ,見事,大会歌に選出されてしまったというお話です。

 さて,ここからは私自身の話。
 やっぱり少年時代は「野球」ほど魅力的なものはありませんでした。

 昭和生まれの男子,山に囲まれた篠山で,やっぱり男の子の遊びはまず野球。
 「習い事」とか正式のチームの野球と違って,水田に囲まれた運動場で,なんとか人数を集めて(それでも9人などはめったに集まりません)やる野球。
 ファールフライを打ち上げてボールがフェンスを超えたら,水田にポチャリ。
 みんなで裸足で水田をぬぷぬぷ歩いて(たまにカエルも踏んづけてしまいます),やっとボールを拾ってゲーム再開。
 篠山の小学生だったときの友達の姿が懐かしく思い出されます。

 灘高に入学した後,私も念願の「高校球児」になりました。
 でも,甲子園に届かないどころか,余りに野球が下手だったのと,当時は色々興味が移って(「ロックバンドでもやった方がモテるかな」などと思って),一年生のときにやめてしまいました。
 だから,甲子園でみる野球部員のまぶしさは,私には特にまぶしく見えます。

 でも大人になっても「野球好き」はどうしても残っていて,弁護士になってから,神戸の弁護士会野球チーム「神戸ドルフィンズ」で今は毎週草野球をする生活です。
 相変わらず下手ですが,いつかは好打・好守の「名内野手」になる,というのが趣味の世界の目標です。
   
 「栄冠は君に輝く」の歌詞は,片脚を切断し野球をプレーすることが叶わなくなった加賀大介さんが書いた詩。
 それだけに,「栄冠は君に輝く」は何も甲子園に出場できる球児だけに向けられた詩ではない。

 あらゆる人に「栄冠は輝く」というメッセージなんだそうです。
 
 もちろん,甲子園球児にも。
 甲子園に届かなかった球児にも。
 高校球児ではないけれども野球好きの人(私のような草野球のおっさん)にも。
 野球が好きだけれども,実際にはプレーできない人にも。
 それを取り巻く全ての人にも。

 昨日もテレビの特別番組でやっていましたが,甲子園といえば,松坂大輔や松井秀喜らのスーパースター,池田高校・PL学園・大阪桐蔭などの滅茶苦茶強い学校,こういう「圧倒的なもの」を観る楽しみも,もの凄い魅力です。
 ですが,一方で,甲子園に出ないけれども4000校を超える学校の野球部があって,それぞれの野球部員,マネージャーにそれぞれの物語があって,また,高校時代に部活や自分の活動に思い切り打ち込めた人もいればそうでない人もいる。
 それは高校生だけでなく大人になってもみんなそう。
 でもそれぞれに「物語」があるし,「栄冠」がある,という,加賀大介さんの,あらゆる人への想像力あふれる思いの詩だった,と知ったとき,涙が出るほど感動しました。

 メジャーな映画でないので,どこで観られるかは公式HPで要チェックです。
 
 普段よく目につく映画(「君の名は」みたいなメジャーなもの)以外にも,貴重な映画の世界があるのだなあ,と思います。
 文化・芸術は目立つものだけでなく,生き続ける中に「宝物」を含むものだなあ,と感じました。

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ピアノは贅沢な楽器!~「羊と鋼の森」(宮下奈都) [音楽は素晴らしい]


羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

  • 作者: 宮下 奈都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/02/09
  • メディア: 文庫



 ピアノとは,何て贅沢な楽器でしょう!

 私は5歳から高1の初めまでピアノを習っていました。

 私が小学校低学年の頃から,年に1回うちにきて,何時間かかけて,同じ音をひたすら鳴らしている職人のおじさんがいました。
 「チョウリツシ」と親に教えてもらいました。意味も教えてもらいましたが,本当に「チョウリツシ」の仕事に意味があるのか,私は実感できませんでした。

 さて,小学校3年くらいだったでしょうか,私の生家である篠山の家で,夜寝ていると,ある真夜中にピアノ室からピアノの音が聞こえてくるような気がしました。
 そんなわけはない,と思ってやり過ごして,次の日,やっぱり聞こえてくる気が。「気が」というより,明らかにピアノが鳴っている。怖い。
 余りの怖さに自分で見に行くことは出来ず,朝が来てから母親に,「真夜中にひとりでに鳴るピアノの音」の話をしました。
 母親は最初「そんなわけあるはずないやん」とか「あなた最近ちょっと疲れているのよ」みたいな反応でした。
 
 もう,「現場」を押さえるしかない,と思って,夜ピアノが鳴ったら母親を引っ張っていって見てもらおう,と思いました。
 
 で,夜が来て,私はピアノの音が鳴るのを待ち構えました。
 すると… 真夜中にやはり,「ぽろんぽろん」とピアノの音が。
 きた。
 私は母親を起こして,「ピアノの部屋」に連れて行きました。
 しかし,部屋に行くと,もちろん誰も居ませんし,ピアノも鳴りません。
 母親は「ネズミかなんかおるんとちゃう?」と言い,私が「ネズミがピアノ弾くわけないやん」と言い,結局,もやもやのまま時は過ぎます。

 そんな状態で1,2週間たったときでしょうか。
 私がピアノの練習をしていると,鍵盤の跳ね返りが悪い鍵が1つ現れます。
 1つくらいならまだましなのですが,日に日に「跳ね返らない鍵」の数が増えていき,もう練習にならない状態になってしまいました。

 その間も「真夜中のピアノ」はあったように思います。
 私は「真夜中のピアノ」をきいていましたが,他の誰も信じてはくれませんでした。

 さて,「真夜中のピアノ」はともかく,ピアノの鍵が跳ね返ってこないのでは練習できないので,親が「チョウリツシ」を呼んでくれました。

 「チョウリツシ」さんが,ピアノの蓋を開けて点検すると…
 ピアノの「内部」が食い荒らされていたのです。
 そして,「内部」にネズミの死骸があった,と「チョウリツシ」の報告。

 母の「ネズミ」説が真実だったし,私の「真夜中のピアノ」について「チョウリツシ」のおじさんは「そういうことが他でもちょくちょくある」と認めてくれました。
 ネズミが鍵盤を叩いていたのではなくて,ピアノの「内部」に入り込んで直接に音を鳴らしていたようです。

 そこから私の年齢が上がり,だんだん,ショパンの「子犬のワルツ」とか,「ピアノを習っている子」の弾く曲を弾くようになっていきました。
 それとともに,「調律師」さんが毎年丁寧に仕事をしてくれていること,音程を微妙なところで調整してくれていること,話としてよく理解できるようになりました。
 ただ,正直,私は調律をしたから音が良くなったかどうか,音程が良くなったかどうか,それは分かりませんでした。
 ですが,半日がかりで,「ど素人」にすぎない私や弟のためにピアノの調整をしてくれる「調律師」さんの存在には,申し訳ないくらいに「ありがたい」と思っていました。

 後に,高校時代,ロックバンドをやるようになり,ギターやベースを友達に触らせてもらうようになります。
 ピアノと違って,ギターやベースは自分でチューニングする楽器。
 自分でチューニングする友達は「サバイバル」能力が高そうな感じがして,格好良く見えました。
 一方,ピアノではそんなことはできず,「チューニング」は,「調律師」の職人仕事に頼るしかありません。
 ピアノは,本当に,王様のように贅沢な楽器です。

 当時,「弦楽器は俺やったことないねーん。」と言っていましたが,ピアノも内部は弦楽器。
 鍵盤を指で押さえると内部の装置の動きによって弦が弾かれる。
 普通「鍵盤楽器」に分類されるピアノは,ものすごく「ハイテク」な弦楽器ともいえます。
 
 さて,この小説は,駆け出しの調律師の視点で,「調律」という世界が描かれた物語です。
 調律,といっても,音を整然と整えるだけでなく,弾く人の求めている音をどう実現するか,「欲しい音」をどう作るか,また弾く人の個性にあわせて一番いい「調律」とは何かを探求していく,奥の深い世界です。

 その中で主人公が大好きなピアニストの卵がいて,調律師としての主人公の成長と,ピアニストや家族の物語がリンクして進んでいきます。

 ピアノは贅沢な楽器。
 この小説も,心の栄養という意味で,何とも贅沢な小説のように思えました。
 素敵な作品でした。

 以上,少し早い,今年の「夏の読書感想文」でした。
 
 映画化もされているようです。音楽好きな人や,そうでもないけど心の栄養が欲しい人など,みなさんにお勧めの1冊です。 
 
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「NEW ELITE ニューエリート」(ピョートル・フェリクス・グジバチ) [読書するなり!]

 ブログをなかなか更新できない日々が続きました。

 さて,サッカーワールドカップが開幕し,日本は見事なスタートを切りました。
 私もにわかにサッカーファンです。

 昼からコロンビアコーヒーを飲んで観戦に臨んだ第1戦は,見事に勝利。
 セネガル戦は2回のビハインドを執念で追いつきドロー。
 1勝1分の勝ち点4は素晴らしいの一言です。

 さて,次は第3戦ポーランド戦。決勝トーナメント進出の期待が高まります。

 というポーランド戦に備えて,ポーランド出身のピョートルさん著の本を読みました。


ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち

ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち

  • 作者: ピョートル・フェリクス・グジバチ
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2018/02/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 グーグルでは,昔ながらの日本の会社勤めとは随分違った働き方で,個々の能力をフルに活かす,今までに無かったものを創造する,という仕事の世界がつくられているようです。

 有名大学を出て,有名企業に入って,長時間労働・長い会議…これを何年もやりこなして出世するというのが「昔ながらの日本の会社勤め」イメージでしょうか。
 私は,こういう在り方で「しっかり頑張れる」人自体は決して嫌いではないです。ある種の頼もしさは確かにあります。

 しかし,この本を読んで,いわば「グーグル流」に近い視点からすれば,「昔ながらの日本の会社勤め」流の弱点は,

とにかくしんどいのに耐えてがんばっているから,それでいいんだ

という一種の「甘え」に繋がりやすい,というところだと思います。

 つまり,

・ 仕事をする一日,何時間をかけて,自分は何を産み出したのか?
・ 仕事の大きな目的のために,従来のやり方(長時間会議に全員が出るなど)は合っているのか?
・ もっと早く動けるのではないか?
・ より創造的な在り方の可能性があるのではないか?

など,神経を研ぎ澄ますべきことを,「鈍感力」でスルーしてしまう傾向に陥りやすい弱点があると思います。
 もちろん「旧来の日本」流でバリバリ働きながらこれらのことをちゃんと考えて色んなものを創造するビジネスマンもたくさんいますが。

 この本は私が仕事をする上で,その姿勢という意味でとても勉強になりました。

 第2章は「つねに学び,自分をアップデートする」方法が具体的に書かれています。

 第4章「会議・チーム作りはアウトプットから逆算する」では,固定メンバー・全員参加型の会議方法にこだわらず,
「アウトプットに不要なメンバーは会議に呼ばない!」
「会議は1回で全てを終わらせる!」
という実際的なチーム運びや,
「『質の高い質問』から雑談を始めてメンバーの価値観を知る」
という,やや「深い」関係の作り方などが書かれています。

 自分を高める,人と協同する,の両方について,とても視野を広げてくれる本でした。

 幅広く,ビジネスマン,学生さんにお勧めの1冊です。






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「事業承継」法務とは? [弁護士業について]





 最近,弁護士,司法書士,公認会計士,税理士などの「士業」では,「事業承継」というのが流行語になっています。

 会社経営者の方,自営業の方などは,われわれ「士業」がときどき

「事業承継セミナー」

などをやっているチラシなどを目にすることもあるのではないでしょうか?

 言葉は聞くけど,「事業承継」法務として,弁護士などは一体何をしてくれるの?という感じの方が多いのではないでしょうか。

 今日は,このテーマを簡単に,平たく解説してみたいと思います。

 

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平昌オリンピック [スポーツ!!]

 
[セット品] 2点セット(サザンカCD、A2ポスターカレンダー[SEKAI NO OWARI] )

[セット品] 2点セット(サザンカCD、A2ポスターカレンダー[SEKAI NO OWARI] )

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: トイズファクトリー
  • メディア:



  毎日が大興奮の2週間でした。
 やっぱりテンションが上がりますし,アスリートの姿を観ると,自分自身も真摯にやるべきことに向き合い続けよう,という気になります。

 今回のオリンピックの印象に残ったシーンを。

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まるでその人の事件しかやっていないかのような仕事 [弁護士業について]

 今日は,弁護士業そのもののことを書きます。
 私の理想とする仕事の在り方は,このタイトルの通りです。

 依頼者からみて,

「まるで,村上弁護士は,私の依頼した仕事しかしていないかのような仕事ぶりだ。」

という仕事を究極の理想とします。
 
 もちろん,これは理想であって,現実には私の事務所に電話を掛けても「本日は村上は裁判所にでかけており不在で…」ということになるのですぐに「他の案件がある」と分かってしまいます(当然)。

 ですが,依頼案件について,

・ 依頼者にレスポンス(返答)がすぐにできる。
・ 弁護士がすべきことについて,即座に対応できる。
・ 重要な点について,深く掘り下げられる。

ということによって,「まるで私が唯一の依頼者であるかのようだ」と感じてもらえたら,それが一番ということです。
 それに近い在り方にしたい,と日々思い続けています。
 
 ありがたいことに多数の事件の御依頼,また事件以外の仕事もたくさん頂いているので,私の日々の予定は大変充実したものなのですが,それでも,依頼者のみなさん一人一人にとっては「他にどんな立派な仕事をしていようが,自分の依頼した事件に(出来れば)最優先で取り組んでもらいたい」ということになります。当たり前ですね。
 数年前に兵庫県弁護士会副会長を務めていたときに正直言って相当のプレッシャーを感じたのは,いくら公務があろうが,依頼事件に対する取り組みの質やスピードを落としてはいけない(でも,「物理的に」時間が足りない),ということを絶えず感じていたからでした。

 私が心掛けているのは,とにかく

できることをすぐにやること(未処理の業務を残さないこと)

です。

 弁護士の仕事では,書類(裁判所に提出する書面など)の提出期限などが次々にあって,いわば,「宿題をいくつか持っている」状態になります。

 これを,理想としては,「常にゼロにする」というのが私のスタンスです。
 実際には,そもそも一つの書面作成に数日かかるというものなどもありますから,なかなか「ゼロ」にはなりません。
 ですが,裁判所に対する提出期限などには関わりなく,自分の仕事で完成させられる状態になれば即やってしまう,というのが,質のいい仕事をやるのに必要だと感じています。

 というのは,仕事をやるときに,

今やりたいこと

あるいは

今これをするのが一番良いと心から思えること

をやるのが,質のいい仕事をするために最も有効だと思うからです。

 そのために,自分の状態を常に「外部からの〆切り」からフリーにしておきたいわけです。
 「外部からの〆切り」によって集中力が高まる,質が高まるという人もいると思いますので,そういう人の仕事のやり方を否定はしません。
 ですが,「外部からの〆切り」というのは普通そんなに厳しく設定されていませんから,前倒しで終わらせることは殆どの場合誰にとっても簡単なことで,またそのデメリットもありません。

 実際,私が「外部からの〆切り」に追われたと感じることは年間通しても1回あるかないかくらいのものです(どれだけ「すぐやる」を心掛けても,仕事がやたらと重なるときもあるにはあるのですね…)。
 日常は「〆切り」フリーで仕事をしています。書面を早くに完成させておいて,〆切りまで修正があればできるように置いておく,というやり方です。
  
 そして馬鹿みたいに単純な話ですが,仕事の効率がよく,質の高い仕事をし易いのは,

「課題が発生したとき,その直後にやる」

ということです。
 鉄は熱いうちに打て,は好きな諺ですが,本当にそうです。
 私も日々経験していますが,何か課題(たとえば裁判用の書面を書く)があったとして,課題が発生したときと,実際に取りかかるときに時間差があれば,「何をするんだっけ?」と思い出す必要がありますし,記録やメモを読み直すところから始めなければなりません。
 依頼者から聴取などせず自分だけで完成させられる書面であれば,裁判の期日が終わって,裁判所から事務所に帰ってきた直後に作ってしまう,というのが,一番「簡単」です。

 もちろん,相手のある種類のことは自分だけではどうにもできませんので,「自分が出来ること」を残さない,つまり,サッカーなどに喩えれば自分のところにボールを持ったままにしない,ということを心掛けます(それでも,相手次第で時間が掛かることはあり得ます。余りイライラしないほうがいいところです。)。

 私の理想とする在り方は,他人から見て「仕事が早い」と見える在り方ともいえるのですが,実際に「執務時間が短い」とは限りません。
 むしろ,誰かが「〆切りに追われてやっつけた仕事」(そんなものがあるとすれば!)よりも,私は執務時間を長く掛けていることのほうが多いでしょう。
 ただ,仕事をするタイミングが「早い」ということです。
 タイミングに余裕があれば,必要なところに必要な時間をかけることができます。
 
 このようにすることによって,できるだけ,

「すぐ動いて欲しい」

というニーズにも対応できる状態を作っておきたいのです(これも理想と現実の間で仕事をしていますが)。
 そうしてはじめて,本当に「今」困っている人がおれば,「いつでも私に言って」といえるわけです。

 という私にも「まあ,明日出来ることは今日やらなくても…」という人間らしい(!?)感情も当然湧いてくるわけで,そんな中で,自分のプロとしての在り方を引き締める意味も込めて,この記事を書いてみました。
 この理想を追求することで,依頼者,相談者の皆様に対して,より質の高い仕事を提供できると信じています。

 平昌オリンピックでアスリートたちの研ぎ澄まされた姿を見て日々感動しており,その影響のもと,本日の記事になりました。

 この心掛けを貫いて,一人で多くの方に,真に役に立てるよう励んでいきたいと思います。


  神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹


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「SHOE DOG」(フィル・ナイト) [読書するなり!]


SHOE DOG(シュードッグ)

SHOE DOG(シュードッグ)

  • 作者: フィル・ナイト
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2017/10/27
  • メディア: 単行本



 靴の「NIKE」創業者の話です。
 読み応えあります。

 ナイキのシューズ,格好いいですね。

 ランニング,ゴルフ,野球,バスケ… どれでもクールで格好いい(といいつつ,私の野球スパイクはミズノですが)。

 私は,大学卒業してからずっと弁護士なので,他の自営業をやったことがありません。

 「ちゃんと商売になるかならないか分からない」という状態から事業を起こし,今の「ナイキ」を作るまでの,山あり谷ありのお話,とても興味深く読んでいます。

 失敗もあり,しんどい時期もあり… 
 リスクがあってもやりたいことがあるから前に進んだ著者の物語は,本当に引き込まれます。

 私も,「心地よいところにとどまる」マインドではなく,もっと良いこと,もっと人の役に立てることをどんどんやっていこう,という気持ちがさらに強くなりました。

 とにかく読み物として面白いので,特にビジネスマンや若い方,学生さんなどにオススメです。


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