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シンポジウム「成年後見制度の活かし方~障がい者の権利擁護を中心に~」(2月25日) [弁護士業について]

 私が代表幹事をやっているシルバー法律問題研究会(高齢者・障がい者の権利擁護について、行政、法律家、学者、介護職その他でつくる研究会in神戸)がシンポジウムをします。

 前半は、障がい者の権利擁護・意思決定支援について、条約・法律と社会の在り方などを植戸貴子さん(神戸女子大学教授)から講演していただきます。
 いつも、この研究会で、植戸教授からは、障がい者の権利擁護などについて、時代の流れ、世界各地では日本と全く違う在り方があることなども含めて、視野を広げてもらえる話をきかせてもらっています。内容が充実しているうえに、聴いているとついつい興味をもって引き込まれてしまう話をされています。
 
 そして後半は、障がい者・高齢者を対象とした成年後見のいろんなケースについて、ケーススタディをします。
 成年後見制度を使うのは、どんなケースに有効か?
 後見制度利用中に本人が死亡したとき、成年後見人は何をしなければならないか?
などを、弁護士、司法書士、社会福祉士のパネルディスカッション形式で行います(私はコーディネーター)。

 定員ありますが、まだ余裕はあります。
 
 関西方面で、成年後見制度や高齢者・障がい者のことに興味がある方、ぜひお越しください。


シンポジウム「成年後見制度の活かし方~障がい者の権利擁護を中心に~」

【日 時】 平成29年2月25日(土) 13:30~16:15

【会 場】 たちばな職員研修センター3階 研修室

【対 象】 福祉・保健・医療等の関係者(定員160名・先着順)

【参加費】 無料

【主  催】 神戸シルバー法律研究会・第三者後見ネットワーク連絡会・神戸市社会福祉協議会・神戸市

申し込み先などは↓から

https://www.with-kobe.or.jp/topics/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%80%8C%E6%88%90%E5%B9%B4%E5%BE%8C%E8%A6%8B%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%B4%BB%E3%81%8B%E3%81%97%E6%96%B9%EF%BD%9E%E9%9A%9C%E3%81%8C%E3%81%84/


謹賀新年(2017年) [弁護士業について]

 皆様、明けましておめでとうございます。

 私も今日が正式に仕事始めです。

 いつもは日々、あれもこれも(やりたい、やらねば)、と欲張ってしまう私ですが、年末年始はそれを一旦離れてリフレッシュしました。
 また、一年の計、人生の計を自由に考えることができました。

 さて大晦日の紅白歌合戦の感想を。
 
 私の印象に残ったのは、Xでした。
 「紅」は私もカラオケでよく歌う大好きな曲。
 私は、いつもTOSHIさんの美しい歌声に一歩でも近づきたいと思っています(本当に)。

 そして、活動休止のニュースの「いきものがかり」。
 元気の出る楽曲に、吉岡聖恵さんの明るく厚みのある歌声。
 私、いっときは、発売されたアルバム全制覇していた時期がありました。
 お疲れ様。ゆっくり「放牧」して、もしよかったら戻ってきて下さい、と言いたいです。

 今年は、今までより一層、積極的に、もっともっと皆様の頼りになる弁護士になるべく精進していきたいと思っています。

 どうぞよろしくお願いします。


  神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹


今年もお世話になりました(2016年) [弁護士業について]

 あっという間に年末を迎えました。

 依頼者の皆様その他色んな場面で関わりのあった方々、大変お世話になりました。

 弁護士も17年になりました。
 生活や人生を積極的に楽しむ、ということがモットーである私は、やはり、弁護士業においても、トラブルに見舞われている方の負担を私が関わることによってできるだけ軽くして、人生を「楽しめる」心境に近づいて頂きたい、という思いで日々仕事をしてきました。

 事件を数多く処理してきた分野もあります。

 先物取引等(金融商品)の被害案件
 交通事故
 労災事故
 相続
 不動産関係  など

 しかし、数多く処理しても思うことは、結局、その分野の事件を「初めて扱った」とき、と同じ気持ちでやることに尽きる、ということです。
 
 知識、経験が助けになることは間違いありませんが、やはり、その事件にはその事件の顔があり、依頼者の方それぞれに個性があり、それぞれの思いがあります。

 それを、「(過去の事例から)パターン化したものにあてはめる」ような目ではなく、ただ真っ直ぐな目で見て、

・ その人にとって何が最善か。
・ その人に対して、どういう風に話していけば、うまく心一つに事件に向かっていけるか。
・ その事件について、何が結果を左右するポイントか。
・ 望む結果を得るためには何をすることが必要か。

を、その都度、その都度、考え続けるしかない、ということです。
 逆に「慣れ」あるいは「馴れ」のほうが恐ろしい部分があり、「日々新鮮な目で」ということを心掛けなければならないと思っています。

 「日々新鮮」というならば、自分自身がフレッシュな感覚を維持していなければ、なかなか難しいことです。
 その意味では、今年は色んなことにチャレンジできました。

 弁護士業そのものでどんなことをしているかはここでは書けませんが、本来的業務以外では、

11月から始めた ネットラジオ RadiCro

つい先日12月15日の 18歳選挙権出前授業

などは、新鮮で、とても貴重な経験になっています。
 
 趣味の方面では、今年は、今までで一番と言っていいくらい、スポーツがたくさん出来た年でした。
 ジムには年間通して平均週3日くらい通うことができ、時間に余裕が出来たときは、小1時間適度な運動をしてコンディショニングするという習慣が完全に自分のリズムになりました。
 草野球(弁護士会野球チーム 神戸ドルフィンズ)にも、たくさん顔を出すことができました。その繋がりで、練習試合に相手となった他チームにも練習や試合に呼んで頂けるようになり、交流の輪も広がりました。内容は相変わらず、「どんくさい」ですが。
 来年は「好きこそものの上手なれ」で、トリプルスリー(打率3割、長打3本!、盗塁3個!)を目指そうと思っています。
 体を動かすと、やはり、思考や発想もアクティブ(ポジティブ)になる、ということを、40歳を超えた今だからこそ強く実感できています。

 また、今年は弁護士業界だけでなく、他の業種の方々とも色んな機会で交流することができ、人と人との繋がりの大切さを、これまた「強く実感」しています。
 当たり前のことなのですが、私の人生経験の中で、「大切さ」「価値」が以前より実感できるようになっています。
 
 心身共にフレッシュでありアクティブである状態を維持する、というのは、私が仕事をしてより多くの依頼者の皆様の役に立つために欠かせないことだと思っています。

 そして、自分の「人」に対する洞察力、想像力をもっと育てて、より頼りがいのある弁護士になりたいです。これは本当に日々勉強です。

 ともあれ、今年はとても充実した日々を過ごさせて頂きました。
 予定も目白押しで、師走などは本当に走り去ったような実感です。
 日々の私の営みは全て、人の助けなしでは成り立たないものばかり。
 
 今年関わりのあった皆様全てに、ありがとうございましたと御礼申し上げます。

 来年もどうぞよろしくお願いします。

神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹

 

もっと伝える!~インターネットラジオ「元気が出る法律相談所」 [弁護士業について]

 新しい試みとして、神戸に本拠を置くインターネットラジオ局RadiCroにて

 弁護士村上英樹の「元気が出る法律相談所」

という番組のパーソナリティをすることになりました。

 月一回、第3木曜日pm12:00~12:30

の放送です。

 そんなのリアルタイムで聴けません、という方がほとんどだと思います。

 バックナンバーを神戸シーサイド法律事務所のホームページに置いています。

 今や、アメリカ大統領選挙でも既存のメディアの世論調査で測りきれない結果が出る時代です。
 
 RadiCroは、今年7月に立ち上がったばかりのインターネットラジオ局です。
 今はまだ全ての時間枠は埋まっていませんが、神戸大学の学生さんたちの番組や、音楽、アートの番組など魅力的なコンテンツで構成されており、これからの発展がとても楽しみなメディアです。
 神戸を本拠とする新しいメディアの発展に関与できることが楽しみで参加することにしました。


 また、今まで文章を中心に法律の世界を広く皆様に伝えることをやってきましたが、これをさらに広げて、私の声を通じて「もっと伝える」ということに一歩踏み出そうと思って始めることにしました。

 一回目は、

電通事件を通して考える長時間労働の改善



子どもが他の子に怪我をさせてしまったら?という悩み相談

とを解説しました。

 「元気が出る」としたのは、やっぱり、誰でも生きていれば、

辛いこと、しんどいこと、嫌なこと

にぶちあたります。
 
 そんなとき、法律や法律家(弁護士、裁判官、検察官)は、

人を元気にする
人を幸せにする

役割をいかに果たせるか、という存在だと思うからです。

 また、ニュースの解説(+ よりよくする提言)や、法律問題の解説を通じて、聴いて下さった方が、

「少し視界が開けた。」

と思って頂ければ、いくらかでも「元気」に繋がるのではないか、という思いからです。

 そしてこの番組作りを通じて、自分の「伝える力」をもっともっと磨いていきたいと思っています。
 「伝える力」はプレゼン能力のように思われがちですが、実は、伝える内容そのものの本質を自分がちゃんと勉強することが第一です。
 それをより一層努力していきたいと思っています。

 一回目は最初のほうはなかなか緊張しており「噛み噛み」だったりしますが、徐々に、いつものペースでお話しできたと思います。
 「噛み噛み」部分も含めて興味のある方は上のリンクから聴いて頂ければ幸いです。
 
 


相手に弁護士が10人もついた!? [弁護士業について]

 法律的なトラブルになって、相手の弁護士から手紙などをもらったとき、

相手の弁護士のところに、10人の名前が書いてある しかも、10人分の職印(「弁護士山田太郎之印」など)が押してある

ということにビックリした、という問い合わせを受けることがあります。

 
 こういう手紙を初めてもらった人は、例えば、離婚事件でも、

夫に10人も弁護士がついた、勝てっこないんじゃないか?

こっちは1人、2人の弁護士で大丈夫か?

という印象を抱いてしまうかも知れません。

 
 「大丈夫か?」の問いに答えましょう。

 別に大丈夫です。「びびる」必要はありません。
 
 通常の場合(例えば離婚案件などで)、本当に相手方に10人の弁護士がついて、弁護団を組んで向かってくるということはまずありません。

 10人の弁護士の名前が書いてあっても、大抵は、「(担当)」として1人か2人の弁護士の名前が挙げられているものです。
 そして、実際にその事件を担当するのは1人か2人です。
 他のメンバーは最後までその事件に実質的にはタッチしないというケースが圧倒的に多いです。

 結局、お互いに1~2名の弁護士同士で事件をやるだけのことです。

 ですので、弁護士のハンコの数で「びびる」必要は全くありません。

 また、相手が「通常の10倍の弁護士費用を支払っている」というわけでもありません。


 この場合、相手の弁護士の事務所には、所属弁護士が10名前後いる、というだけのことです。

 ただ、最近は大規模な法律事務所が事件をやるときでも、所属弁護士全員がハンコを押して書類を出すということは少なくなっている気がします。

 実際にはその事件を担当しない弁護士の名前を表示したり、職員を押すこと自体、手間がかかりますし、たとえば、所属人数が20名、50名といった大規模な法律事務所となれば、もう全員がハンコを押すことさえ困難です。

 結局、合理的なやり方に戻って、大規模な事務所でもその事件を担当する1名、2名の弁護士だけが氏名を表示して印鑑を押すケースが増えているように思います。
 
 ということで、マスコミを賑わすような弁護団事件などで無い限り、普通の民事事件、離婚事件、相続事件などで、

相手に弁護士が10人もついて、その全員が一丸となって向かってくる

ということはありませんので、ご心配なく。

 
 神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹


 

相手に弁護士がつくのは「不利」なこと? [弁護士業について]

 今日は、例えばトラブル案件をかかえているときに、

相手に弁護士がつくかつかないか

についてお話しします。

 自分が弁護士をつけるかどうか?というのは自分にとって、法律のプロにアドバイスを受ける方がよいかどうかで決めればよいことです。
 たとえば、トラブル案件が離婚とか、相続とか、交通事故などの損害賠償請求など内容があるものだったら、一般論としては、弁護士をつけてプロに相談しながら進めていく方が有利でしょう。
 これは自分のこと。

 今日の話は、「相手に弁護士がつくかどうか」の話。
 これは、こっち側でコントロールできません。
 向こう(紛争相手)が弁護士に依頼するか、本人で訴訟や示談交渉に臨んでくるか?です。
 それによって何がどう変わるか。


 私、弁護士にとっては、相手に弁護士がつくのは決して嫌ではありません。

 弁護士同士のほうが、感情を抜きにして、何が争いか整理して話ができます。
 
 法のルールは双方分かっているので、争いの範囲も絞ることができます。

 なので、早く「あるべき幅」の中で解決できることが多くなります。


 もちろん、

弁護士がついている人   vs  弁護士がついていない人

となると、有利・不利としては「弁護士がついている人」が有利です。
 法律的なアドバイスや、これまでの裁判の経験を踏まえた判断を受けられるからです。
 
 ただ、「弁護士がついていない人」が、あまり勝手が分からないままに、自分の思いで裁判や示談交渉に臨む場合には、どうしても感情的になりやすいし、直接関係のないことも長時間かけて全部話さなければ気が済まなくなります。
 また、紛争を解決するには必要の無いようなことでも、細かい部分にこだわってしまって前に進めないということもよく起こります。

 こうなると、相手側、「弁護士がついている」側にとっても、実際には、トラブルが長期化してしまって困る、ということが起こります。
 もしかしたら、最終的な結果は相手が素人である分だけ有利になるかも知れませんが、早く解決をつけてスッキリさせたいのに、いつまでもトラブルが解決せずに長くストレスを抱えなければならない、迷惑だ、という場合があります。
 こういう場合には、依頼者も私も「むしろ相手に弁護士でもついてくれたらいいのに」という心境になることがあります。
 
 私たちの仕事(トラブルの解決)は、

・ 依頼者にとっての勝ち負け … 一円でも多く得をする結果を得る

という要素はもちろん大きいですが、それだけではなく、

・ ストレスフルなトラブルを早期に解決させる

ことや

・ お互いに禍根を残さないように(できるだけ少なくなるように)する

ことも大切になります。
 
 そういうことを考えたときに、理想は、お互いに、「トラブルのあるべき解決」を考える弁護士がついて、もちろんそれぞれの弁護士が依頼者のために全力を尽くした上で、双方にとってそれなりに納得がいく解決が得られることだ、ということになります。

 法律のプロとしては、依頼者の立場に立って主張すべきはするとしても、ある程度その事件の常識的な「落としどころ」を考えつつ進めていける、ということが大切なスキルになります(ただ、事件によっては「落としどころ」が見出しにくい案件もあります)。
 この「落としどころ」を意識するというのは、「弱気に、相手に妥協することを考える」のとは違います。
 むしろ、無茶なことをして依頼者を無駄に苦しめる(あるいは損をさせる)ようなことにならないように、方向性をしっかり見定める、という意味で重要なスキルです。


 ですので、私が仕事をするときには、

・ 自分が良い仕事をする

ことが第一ですが、

・ 相手にも良い弁護士がついてくれたらいいな

と思っています。
 そのほうが、私の依頼者にとっても、早期に、あるべき解決ができやすくなるからです。

 ただ、最初に述べたように、相手の弁護士選びは相手のすることなので、私がコントロールできません。
 言ってしまえばこれは「運次第」ということになります。
 なので、実際には、どんな弁護士が出てきても、弁護士がつかず本人相手でも、それはそれで必要な対応をするのみ、ということになります。


 まとめると、

 トラブル、訴訟や示談交渉などの話し合いについて、相手に弁護士がつく、ということは「不利」なことだと思う必要はありません。

 必要ならばこちらも弁護士を立てて、弁護士同士で整理した話し合いをして、早く、適切な解決を目指すことを考えるのが良いです。

 相手が本人でやるより弁護士がついた方が話が進みやすい、という場合も多いので、そういう場合には、むしろ「良いこと」です。

 
 以上、紛争になると相手方の動向は一々気になるものですが、そのうちの「弁護士がつくかつかないか」をどう捉えたらよいか、をお話ししました。
 読者の皆様の参考になれば幸いです。

神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹


 


 

弁護士「個人」の調査能力~続・弁護士は何でも調査できるのか? [弁護士業について]

 前回の記事

弁護士は何でも調査できるのか?
http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-10-27

を書いた後、そうだそうだコレ言っとかないとと思ったことがあるので補足します。

 一般の方が弁護士に依頼して、

「普通ならできないことを調べることができる」

という場合には、こういう種類のこともあります。


 弁護士「個人」の人脈や経験によって、

普通の人は繋がっていない専門家に繋がっていること

などがあります。

 例えば、弁護士「個人」の人脈として、

・ 友達に医者が多い
・ 建築関係の専門家とのつながりがある
・ 芸能人の知り合いが多い(使えるか?ですが)

などがあります。

 また、弁護士「個人」の経験として、

・ 医療関係の案件が多ければ、医者や医療関係者に色々尋ねた経験があり、また何かあったときに「色々聞いてみる」ことができる。

とか

・ 難しい交通事故の案件を扱った経験が多い人の場合に、交通工学鑑定(車がこのスピードで走ってくれば、衝突後、損傷がこれくらい大きくなる、というような物理的な分析など)の専門家と接点がある(以前にも依頼したことがある)。

とかそういうことがあります。

 なので、弁護士の「権限」とかそういうものではないけれども、弁護士の経験や人脈によって、普通レベルではなかなか出来ない調査(専門家に意見を求める調査など)ができる場合があります。

 このあたりは、私たち弁護士としては、日頃から、知恵を借りることができる(また、必要なときには、逆に法律的なことを教えてあげられる)知り合いをたくさん作っておくこと、依頼案件をする中で出来た他の分野の専門家とのつながりを大切にしていくことにより、「自分の調査能力」をレベルアップしていかなければなりません。
 私としても、「自分の調査能力」の面でも、皆様に頼って頂ける存在になるべく、日々努力していきたいと思っています。
 

       神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹



弁護士は何でも調査できるのか?~弁護士の調査能力、弁護士会照会など [弁護士業について]

 よく尋ねられることの一つに、

「弁護士さんって、他人の住所とか、貯金とか、何でも調べられるのですか?」

というのがあります。

 今日は、弁護士の調査能力についてお話ししたいと思います。

1 弁護士には「捜査」能力はない
 
 調査、といって、一番強力なものとして何を思い浮かべますか?

 そう、警察の「捜査」ですね。
 特に、いわゆる「ガサ入れ」(家や事務所などに対する、捜索、差押というやつです)などは、刑事ドラマなどでもおなじみです。
 タンスなどもひっくり返して無理矢理調べることができる(しかも、片付けずに帰ってしまうというアレです)。
 これは、「強制捜査」の一種で、警察や検察にしかできないことであり、しかも、裁判所が出す令状があってはじめてできることです。

 弁護士は「強制捜査」はできません。
 ですので、基本的に「調べられるのはいや」という相手に対して調べることはできないのです。

2 しかし、弁護士だからできる調査方法はある!
 
 では弁護士には、調査能力が全くないか、といえばそうではありません。
 
 受けた事件に必要なことであれば、いくつかの方法で、弁護士でない人には難しい調査ができることがあります。
 それを順に紹介しましょう。

3 住民票・戸籍の調査

 お金を貸したけれど返してくれない相手を訴えるために住民票を調べることなどができます。

 また、訴えたい相手がいるけれど既に死亡している場合などは、その相続人を調べるために戸籍を調査することもできます。

 ただし、あくまで、事件の処理のため必要な範囲で他人の住民票・戸籍謄本が取れるという話です。
 「あの人に隠し子がいるかどうか興味本位で調べてみたいから弁護士に委任して調べてもらう」というような「調査のための調査」はできません。

4 普通の文書・問い合わせによる調査
 
 これは別に弁護士だから、という特別な方法ではありません。
 
 例えば、亡くなったおじいちゃんの晩年のお金がたくさん無くなっていたという場合に、身近な人に使い込まれたんじゃないか?と疑ったとします。

 そのころのおじいちゃんの体や判断能力がどれくらいのものだったかを調べ、使い込まれる状況に合ったかを確かめたいということがあります。

 そんなときに、おじいちゃんの様子を見ていた人、例えば、出入りしていたヘルパーさん、介護事務所などに、文書や電話で、「そのころのおじいちゃんの心身の状況について教えて下さい」と尋ねるなどです。

 これは弁護士でなくても誰でもできます。
 しかし、プライバシーのこととか、紛争に巻き込まれるのがイヤとかで、普通に訊かれても「回答しません」という場合でも、弁護士が回答を求めると答えてくれる場合があります。

 弁護士ってそんなにえらいのか?と思われるかも知れません。

 が、「えらい」というわけではなく、紛争解決については、弁護士は弁護士法という法律上特別の役割が与えられた存在なので、そのことを信頼して回答してくれるということがあるのです。

5 弁護士会を通じての照会(23条照会)

 最近(平成28年10月19日)、これに関する最高裁の判決がありました。
 
 このニュース

(引用)
転居先照会、愛知弁護士会が敗訴 最高裁逆転判決
毎日新聞2016年10月19日 中部朝刊

弁護士法に基づく情報照会(弁護士会照会)の回答を拒んだのは違法として、愛知県弁護士会が日本郵便に約30万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は18日、「回答を拒絶されても弁護士会は損害賠償請求はできない」との初判断を示した。その上で2審判決のうち日本郵便に1万円の支払いを命じた部分を破棄した。愛知県弁護士会が賠償を求めた部分の敗訴が確定した。


 弁護士会照会は、裁判の証拠を集めるため依頼を受けた弁護士会が公的機関などに資料の提出を求める制度。判決によると愛知県弁護士会は2011年9月、民事訴訟の和解金を払わない相手先に強制執行を求める男性から依頼を受け、日本郵便に相手先の転居情報の回答を求めたが、「郵便法の守秘義務がある」と拒否された。

 小法廷は同制度について「照会先は正当な理由がない限り、回答をすべきだ」と言及。その一方で「弁護士会に照会権限があるのは制度の適切な運用を図るために過ぎず、賠償請求の前提となる法律上保護されるべき利益はない」と判断した。

 小法廷は、弁護士会側が日本郵便に回答義務があることの確認を求めた請求については2審で審理が尽くされていないとして、審理を名古屋高裁に差し戻した。同会の弁護団は「最高裁は正当な理由がない限り回答すべきだと示した。意義ある判決だ」と述べた。日本郵便は「コメントは差し控える」としている。【島田信幸】
                                    (引用終わり)

 タイトルの通り、弁護士会が裁判に負けたという悲しい判決なのですが、中身はいいことも言ってくれています。

 このニュースにあるとおり、弁護士は弁護士会を通じて「照会」ができます。
 弁護士法23条の2という条文に根拠があります。
 それで、この「照会」のことを「23条照会」とも呼びます。

 弁護士が、弁護士会を通じて、事件に必要な調査を「公私の団体」相手にかけることができる、という制度です。

 ニュースに補足ですが、この最高裁判決(本文)は次のように述べています。

「23条照会の制度は,弁護士が受任している事件を処理するために必要な事実の調査等をすることを容易にするために設けられたものである。
 そして,23条照会を受けた公務所又は公私の団体は,正当な理由がない限り,照会された事項について報告をすべきものと解される」

 弁護士は、トラブルを裁判などで解決しなければならないわけですが、正しく解決するためには真実を知ることがとても大切です。
 なので、こういう制度があるのです。

 ですから、照会を受けた団体は(拒否する)正当な理由が無い限り答えるべきだ、と最高裁が言っているということです。

6 裁判を通じた調査

裁判の中で、相手方に対しては、
・ 証拠として、必要な書類を出すように要求する(「求釈明」と呼ばれます)
・ 裁判所から文書提出命令を出してもらう方法
などがあります。
 例えば、労災事故が起こって、会社に対して、事故に関係する会社内部の文書(調査報告書など)を出して下さい、などと求める場合などです。
 文書提出命令に逆らっても犯罪になるわけではありませんが、その文書に関係する部分について不利な判断がされる場合があります。

 また、裁判の当事者以外に対して(例えば、兄弟で相続について争っている場合に、亡くなったお母さんの預金を調べる場合。銀行など)、
・ 文書送付嘱託(口座の金銭の出し入れ履歴を出して下さい、など)
・ 調査嘱託(そもそも口座がありましたか?という質問など)
というのを、裁判所からしてもらうことがあります。
 「嘱託」というのは「依頼する」というくらいの意味ですが、裁判所からの依頼なので、銀行などもこれに応じて資料を出してくることが多いです。

 さて、裁判を起こさない限り上のような手段が採れないのか?という問題があります。
 そこで、「裁判にできるものか見込みが分からないけど、とにかく調べるために、裁判を起こしてみるしかない」という感じで裁判を起こす、という発想が出てきます。
 これはちょっとまずいです。
 最終的に勝ち負けがあるし、予想通りにならないこともあるのは裁判の常ですが、「勝負になるかどうかも分からない」裁判がたくさん起こされたら困る。裁判所もパンクするし、何より訴えられた人はたまらない。
 こういう不都合をなくすために「訴訟予告通知制度」というのがあります。

 「訴訟予告通知制度」というのは、裁判を起こしたわけではないけれども、起こすことを予告して、上に書いた「文書送付嘱託」などの調査ができるという制度です。
 その調査の結果、入手できた書類を見て、「これでは裁判は無理だ」と思ったら、訴訟をやめればよい、というものです。
 結果、「あてずっぽう」みたいな裁判が減り、ちゃんと根拠のある裁判が増える、ということを目指した制度です。
 この制度も、依頼事件によって有効に活用したいものです。


 以上、弁護士がどんな調査をするのか?について解説しました。

 何かの事件を依頼するときには、できるだけ自分で資料を集められる限り集めて頂き、弁護士に見せて頂くのがよいです。
 ですが、自分1人でできることには限界がありますから、

「どんな証拠を集めればいいでしょう?」
「それにはどうすればいいでしょう?」
「自分は何を? どこからは弁護士に任せていいか?」

ということも含めて、弁護士に相談して頂くのが良いと思います。

              神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹
   

 





 

差し入れ「書籍」閲覧制限の違法判決…「死刑囚」の人権の制限はどうあるべきか? [弁護士業について]

 タイトルの件、弁護士ドットコムニュースにコメントをしています。  

https://www.bengo4.com/internet/n_5067/

 「死刑囚」といえば、凶悪犯人だから人権が制限されるのは当然だ、と思われる方もおられるかも知れません。
 
 しかし、死刑囚や受刑者であっても、憲法で保障された人権は最大限尊重されなければなりません。
 刑の執行や刑務所に収容する目的との関係で制限がなされることがありますが、それも必要最小限度でなければなりません。
 
 少しでも興味のある方は上のリンクから読んでみていただければと思います。

                       神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹

  

セカンドオピニオンその2 [弁護士業について]

 以前セカンドオピニオンについて書きました。
http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2015-10-06

 セカンドオピニオン万歳ではなく、「注意点」を書いたものです。

 そうなのですが、この記事を書いてから、むしろ

「セカンドオピニオンになるのですがいいですか?」

という相談を頂くことが以前より増えました。
 一方で、「いかにもあちこち弁護士回りをしているな」というようなセカンド(?)オピニオンの相談は上記記事をアップしてからはほとんどありません。

 私自身、体の治療法のことなどで、医師の友人・知人などにセカンドオピニオンを求めることもあり、それが助けになっていることがよくあります。

 ですので、相談者の気持ちは分かるので、もともと

セカンドオピニオンを求められるのも歓迎する

という立場です。

 ただ、依頼者の元弁護士との関係について話を聴いても、

「必ずしも依頼者寄りの意見を言うとは限りません」
「むしろ、割合として、反対のことのほうが多いです」

というのが前回の記事でした。
 さらに言えば、セカンドオピニオンを求められた弁護士について、「よく知らないで簡単に人の仕事ぶりを悪く言う」というのは良くないこと、ということを書きました。

 そういう記事を読んで下さっている方で、そのうえで、「セカンドオピニオンいいですか?」と言って来て下さることについては、私はこう理解しています。

自分に都合のいいことを言ってほしいのではなくて、本当のこと(正直に思うこと)を言ってほしい

から来られるのだ、と。

 こういう意味での真剣な相談の場合、それが、弁護士のセカンドオピニオンに当たるかそうでないかと関係なく、相談を受ける側としては、求めておられるものに応えたい気持ちが自然と湧くものです。

 弁護士の場合は、医者の場合と違って、「言うことをきかなければ死ぬ」ということは滅多にありません。
 ですので、依頼者に迎合しようと思えばできるし、一時的な人気をとる(売上を上げる)ためにそういうスタンスをとることも可能でしょうが、それは誠実ではない、依頼者のためにも社会のためにもならない、と思っています。

 もちろん、人それぞれの状況があって、(正論であっても)本人にとって余りにキツいことをストレートに言った場合に耐えられる心境かどうか、というのがあります。
 それには配慮せざるを得ません。
 配慮するのですが、それでも、伝え方は工夫しつつも、本人さんにとって都合の悪いことも、伝える必要があるならばキチッと伝える誠実さは大切にしなければならないと私は思っています。
 
 実際には、「(弁護士が自分に)都合の良いことを言ってくれない」ということで、その依頼者が離れてしまう結果になることもあります。
 ただ、それはやむを得ないことです。どうしても相性もありますし、一定期間にわたって依頼者と信頼関係を続けられる状態になければ、その人の依頼事件をすることは現実的に不可能です。

 その反面で、「ときに厳しい見通しも言われることがある。でも自分のためを思って本当のことを言ってくれている」という意味で信頼して下さる(私の真意を理解して下さる)依頼者が多くおられること、そのことが本当にありがたい、と思っていますし、それには全力で応えたいと思っています。

                        神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹




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