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マーサズ・ヴィンヤード島 [法律案内]

2月25日、私が代表幹事を務めるシルバー法律研究会で成年後見シンポジウムを行いました。

 基調報告で「障がいのある人たちの権利を保障するために」と題して、神戸女子大学健康福祉学部教授の植戸貴子さんから話を聴きました。

 植戸さんの話の中で印象に残ったのが、「マーサズ・ヴィンヤード島の聴覚障害者」のエピソードから学ぶ、障がいの「医学モデル」と「社会モデル」の話でした。

 マーサズ・ヴィンヤード島は、アメリカのケープコッドの南海岸から約3.5マイル (6 km)のところにある島(と言ってもどこやねん?という感じですが、ニューヨーク、ワシントン、ボストンなどからも近い距離にある島)で、アメリカの観光地、高級別荘地だそうです。
 一度は私も行ってみたい!

 この島について、こんな本があります。この島のエピソードから、「障がい」とはなんなのか?の本質を考える話です。


みんなが手話で話した島

みんなが手話で話した島

  • 作者: ノーラ・エレン グロース
  • 出版社/メーカー: 築地書館
  • 発売日: 1991/11
  • メディア: 単行本



 以下、植戸教授のお話(の私の記憶)です。

 マーサズ・ヴィンヤード島では、かつて遺伝的に聴覚障害者の割合がとても高かったそうです。
 
 でも、そんな時代、この島で、聴覚障害者の人もコミュニケーションにほとんど苦労することがなかった、のだそうです。

 それは、紹介した本のタイトルにもあるとおり、

みんなが手話を使っていた

から。

 この島では、聴覚障害者の割合も高かったために、島民がみんな、

「口でしゃべる言語」と「手話」との両方の「ネイティブ・スピーカー」

だったとのことです。

 おそらく、「障害者の権利保障」について意識が高かったという話ではなく、実際の必要上その島では自然とそうなっていたみたいです。

 この例で、昔のマーサズ・ヴィンヤード島の聴覚障害者は、

・「医学モデル」で捉えると、「本人の機能障害」がある状態といえる

しかし、

・「社会モデル」で捉えると、マーサズ・ヴィンヤード島ではみんなが手話ができるので「社会的障壁(バリア)」がない
→ 生きづらさがない

という状態だったという分析ができる、という話でした。
 
 もちろん、単純化した話ですので、「全く」生きづらさがないという話ではありません。
 
 ただ、「障がい」の捉え方・アプローチの仕方については、

「医学モデル」のアプローチ  本人の機能障害  →(対応)治療・訓練

「社会モデル」のアプローチ  社会的障壁(バリア)→ (対応)バリアの解消・社会改革

がある。

 で、(マーサズ・ヴィンヤード島は別として)これまでの考え方は「医学モデル」の発想が強く、あくまで本人の問題として治療・訓練をして適応できればよし、適応できなければ一定のハンデはやむを得ない、という傾向が強かった。

 だが、視野を広くして、「医学モデル」的発想で「本人の問題」と捉えるだけではなく、「社会モデル」のアプローチ(分かりやすい例が「手話」)を進めていくことにより、障がい者にとってのバリアを解消して、

障がいがあっても、障がいがない場合と変わらず、生きる楽しみを享受できる

という話でした。

 この話を聴いて私が思ったのは、植戸教授が言われる「社会モデル」発想で、障がい者にとってのバリアを少なくした社会が「当たり前」になれば、

障がい者だけではなく、健常者(障がい者以外の人)にとってもストレスが少ない社会になるのではないか

ということです。

 つまり、「障がい者」の「障がい」をただ「本人の問題」と捉える(「医学モデル」のみの発想)ならば、障がい者のために健常者が配慮することは「負担」だと感じられるかもしれません。

 しかし、社会の在り方の問題と捉えると「負担」ではなく「当たり前」の感覚に近づくだろう。
 もっと言うならば、

自分が「健常」でも、何らかの事情で「障がい」を有することになっても、活き活きとした生活ができる社会だという安心につながる

という風に思いました。

 発想を豊かに、視野を広げることの大切さを感じた話だったので紹介しました。

念のため 「医学モデル」のみでは不十分という言い方をしていますが、医療批判の意図ではありません。
 「モデル」は、あくまで「考え方」「発想」の「呼び名」だと思います。
 実際に、私の知る限り、医師・看護師等の医療従事者の方々は、治療にあたられるだけではなく、日々、障がい者に対する社会的バリアの解消にも高い関心を持っておられる方が多い(また、バリア解消に尽力しておられる方が多い)と感じます。
 医療の進歩もありがたいことですし、また、社会のバリアの解消も進めて、誰もが生きやすい世の中になるよう、私も微力ながら役に立ちたいと思っています。

神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹




 
 


 

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コメント 3

kana

ご訪問&nice、ありがとうございました。
こういう島があるのですね、障害のある方と関わりがあるので興味深いです。
by kana (2017-03-09 20:52) 

ayu15

うちの日記に書いてますが、両方必要だと思います。

by ayu15 (2017-06-11 10:18) 

hm

kanaさん
 ナイスコメントありがとうございます。
 私も初めてこの島の話を聴いたとき,とても興味深く感じました。

ayuさん
 ナイスコメント有難うございます。
 そのとおり,両方からのアプローチが必要ですね。
by hm (2017-07-03 15:32) 

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