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養育費・婚姻費用の算定表について、日弁連が新しい提言 [法律案内]

 11月15日に、日弁連(日本弁護士連合会)が、離婚後の養育費などについて、「新しい提言」をしました。
 
日弁連ホームページ 養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/161115_3.html

 養育費・婚姻費用については、私の過去の記事で取り上げています。

「養育費・婚姻費用の算定表~なぜ表で決めるのか?」
http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2009-05-14

「養育費が払われない場合、どうすればよいか?」
http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2012-04-27

 「なぜ表で決めるのか?」では、「表で決める」ようになった以前の時代(2003年ころ以前)には養育費・婚姻費用を決めるのに時間がかかりすぎていたことなどを説明しています。
 「表」がなかった時代は、調停などで、養育費等を正確に計算するための資料として、細かい領収証などを当事者に提出させたりしているうちに、何ヶ月も経ってしまっていました。
 しかし、養育費や婚姻費用(別居中の生活費)は、毎月必要な生活のお金ですから早く決めてもらわないと困ります。実際、「細かな領収証がどうとかで何ヶ月も待たされてはたまらない」という声が上がっていました。
 そんな状況を打開するのに、「表」ができた(2003年)ことが大変役に立ったのでした。
 これのおかげで、養育費や婚姻費用を、(以前よりはずっと)素早く決めることができるようになりました。救われた人も多かったと思います。
 余談ですが、この「表」ができた2003年は星野監督のもとで阪神タイガースが18年ぶりに優勝した年でした。

 さて、それから時が経つこと13年…

 この「表」について、もっと良いものにできないか、という動きが出てきました。

 2003年のときは、とにかく実際の調停などで「使える」「表」を作る、ということに意義がありました。はじめての「使える」「表」という意味では、このとき作られた表はよくできたものだったと思います。

 今度は、その「表」をさらにきめ細やかに、夫婦、父・母・子の生活に実態に合うように作りかえるということが課題になってきました。 

 主な点としては、以前の表では、収入から生活費以外に必要な出費として差し引く金額の概算の仕方の問題で、支払われるべき養育費の金額が実態よりも低めに出やすい傾向がある、ということが指摘されていました。
 今回の日弁連提案の「新算定表」では、その問題点について必要な改善をして、また、小学校入学前と入学後の養育に必要な負担の違いに考慮してよりきめ細かな「表」の分け方がなされています。
 また、表を作る上で基礎にする統計資料も最新のものが採用されました。

 その結果、代表的な例

 離婚後の養育費
  父 : 年収400万円
  母 : 年収175万円、子ども15歳と同居

の場合は、「現算定表」(2003年)では月4万円だが、日弁連提案の「新算定表」では月7万円になる、と試算されています。

 新聞ニュースなどによると、「現算定表」と比べて養育費の額が1.5倍くらいに増額される例が多くなるといわれているようです。

 もちろん、これは、養育費を払う側にとってはきつい、ということでもあります。

 ただ、上の例でいうと、おおよそ

父親の月収は平均して33万円(400万円÷12)
母親の月収は平均して15万円(175万円÷12)

子どもの生活費を月に約10万円 として、父7万円、母3万円負担する 

ということになります。
 こう考えると、まずまず妥当な線ではないか、これまでのように父4万円の負担ならば母子側は相当しんどかったのではないか、と思えます。

 さて、今の段階では、日弁連が新しく提言をした、という段階ですから、まだ、すぐにこの「新算定表」が調停などで採用される、というわけではありません。

 ただ、これからは、私たち弁護士もこの「新算定表」提言があることを意識して活動することになりますし、家庭裁判所の裁判官・調停委員もやはり意識するでしょうから、これからの調停・審判にも影響があると思います。

 というわけで、 養育費などの「算定表」がこれからどうなるか? は今とてもホットな課題となっています。

神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹

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