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「超高齢社会におけるホームロイヤーマニュアル」(日本加除出版) [くらしと安全(交通事故その他)]


超高齢社会におけるホームロイヤーマニュアル

超高齢社会におけるホームロイヤーマニュアル

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本加除出版
  • 発売日: 2012/12
  • メディア: 単行本



 最近購入した本です。
 
 「超高齢社会におけるホームロイヤー」って何だろう?ということなのですが、簡単に言えば、「かかりつけ法律家」ということで、高齢になってきて自分の身のまわりのことや財産のことなどについて、継続して、弁護士に目配りをしてもらったり、相談したり、そういう風なことができる態勢のことです。

 「顧問契約」の個人版、この場合、特に高齢者向けの個人「顧問弁護士」ととらえてもよい、と思われます。

 従来型の「事件があってはじめて法律事務所の門を叩く」という在り方とは違う、現代的な、弁護士による依頼者への関わり方(スタイル)の提言を含んだ本です。
 「超高齢社会」、つまり、高齢故に法律家の援助が必要な状態が増えていることに対応して、ということです。

 虫歯にたとえても、歯磨きをして虫歯を作らないことが大事なのであって、私も常日頃思うのですが、「トラブルを未然に防ぐ」こと、「予防法学」と言ったりもしますが、そういう考え方は非常に大事です。
(以前の記事 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2011-06-13 。 事務所HPでの私のコラムhttp://www.kobeseaside-lawoffice.com/staff/723/ などでも書きました。)

 この本に書かれている「ホームロイヤー」の在り方はこうです。
 継続的に弁護士と契約をして、次の3点を中心とした支援を受ける、というものです。

1 定期的な見守り
 たとえば、弁護士側から月1回電話をして「何か、お変わりないですか?」と尋ね、訪問も例えば1~3ヶ月に1回など、必要な頻度で行うなどです。

 普通ならば、事件を弁護士に依頼するときは、もちろん、弁護士から電話がかかってきたりしません。
 用があれば自分から弁護士に連絡を取るしかないし、むしろ、頼みもしないのに、弁護士から「トラブルありませんか?」などと電話がかかってきたら気持ち悪いのです。

 ですが、高齢になって、たとえば悪質商法被害に自分も遭いかねない、判断力も徐々に衰えているし、という状況で、あらかじめ自分の信頼する弁護士に「月に1回電話してね」という形をつくっておくのは、確かに、安心かもしれません。
(実際に、悪質商法被害などでは一旦お金を払ってしまった後は取り返すのが難しい。契約書にサインしてしまっても、金を払う前ならば、何とかなる確率が格段に大きいです。)

2 法律相談を含む、生活上の様々な悩み事の相談
 法律問題に限らず、気軽に相談できるように、ということがこの本には書かれています。
 
 そうですね。
 まず、自分の相談したいことが「法律問題かどうか」さえ、一般には判断つきにくいし、ましてや、現役を退いた方ならばますます判断つきにくくなっていくものです。
 
 これ、私も反省することがよくあるのですが、「それは法律問題ではない。私の守備範囲ではない。」ということがあって、それを伝える必要がある場合もあるのですが、そのときに、相談を持ちかけた方が「問いかけた私が愚かだった」という気持ちにならないように配慮することが必要です。
 
「まあ、ともかくも、何でもまずは相談してみてくださいよ。もしそれで、その結果、法律問題でない、ということが分かれば、それはそれでまた違う対処方法が見えますから。それだって、弁護士に相談する1つの効用ですよ。」

というメッセージを発しておきたいところです。

 この本のことに戻りますが、この本も、こうして法律問題に限らず相談を受ける(もちろん、解決できるとは限らないけれども)ことで、「心を開いてもらう」、それによって、依頼者の置かれた状況をより正確に話してもらえる状況をつくることの意味が大きい、という論調で書かれています。

3 ライフプランノートの作成

 これは、ホームローヤーとして弁護士が高齢者を支援するための各種メニュー

遺言
財産管理
生活支援
リビング・ウィル(生前の意思。例えば、延命治療を希望するか否かなど。)
死後事務
親亡き後の財産管理
事業承継
など

を検討するにあたって、必要な項目を一覧にしたもの である、とのことです。
 本人さんの意思などもしっかり確認して記録にしておく意味もありそうです。
 
 チェックリストのようなもので、一種の定型をつくることによって、事実関係の確認漏れを防ぐ、ということが期待されます。
 
 私は、マニュアル的な対応にとらわれたくない気持ちが強いですが、そうはと言っても、自分が事実関係のチェック漏れを一切起こさないなどと考えるのは間違いの元なので、このような「チェックリスト」があるのは有り難いことで、有効だと思います。


 このような支援を受けるとして、もちろんタダではありません。
 この本では
「ところで、ホームロイヤー契約の報酬は、月額報酬が基本である。月額報酬の金額は、5,000円~1万円程度が適当と考えられる。ただし、架電又は面談の頻度によって具体的な金額は増減する。 (中略) なお、相談にとどまらない特別な法律事務については、別途弁護士報酬と実費が発生する旨をあらかじめ定めておく。」(18頁)
と解説されています。
 必要なければ月額報酬を払う必要もないのですが、仮に、月に例えば1万円程度を支払っても、上記のような支援を受けるほうが安心だ、という状態であれば役に立つ契約スタイルだと思います。

 
 というところで、私の事務所の仕事としても、現在も、成年後見申立の代理や成年後見人の仕事などはしているのですが、この本にあるような高齢者向け「ホームロイヤー」契約、あるいは、それと同等の支援の仕事をすることも、依頼されようとする方の望み・幸せに合致するならば積極的にやっていきたいと思います。

 まあ、「ホームロイヤー契約」という洒落た名前ではなくて、実際には、ときどき気軽に法律相談を活用して頂いている高齢者の方(依頼者)も結構おられ、この本で紹介されている高齢者向け「ホームロイヤー」に近い支援をさせて頂いていることも既にあります。
 これはまあ、最近に始まったことではなく、昔から、というところです。
 その場その場での柔軟な対応でやっていることで機能しておれば、それが一番、とも言えます。
 
 でも、この本の紹介する「ホームロイヤー契約」という一種の「型」ができることによって、今まで、弁護士と全く知り合いではなかった方などでも、アクセスしやすくなり、また、「こんなこと頼んでいいのだろうか?」という迷いも少なくなって、法的支援を受けられるようになるなら、意義のあることだと思っています。

                                   村上英樹(弁護士、神戸シーサイド法律事務所


 
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ayu15

助言だけでなく必要に応じて行動もあると助かります。

宝塚で事件ありましたが(この事件は別にして)

役所の不親切(当人にとって)な対応に不快感もつこともあります。
あれこれ指示どおりしてると最後に「え~~~!」
となることがあります。
役所は聞けば教えてくれますが・・。問題は想定できないから聞くこともできません。
またしゃくし定規の対応のこともあります。

不親切の最高峰は生活保護です。

弁護士同伴ならこんな目にあわずに・・・と思います。
by ayu15 (2013-07-19 10:05) 

hm

ayuさん

 このホームローヤー契約も、必要に応じて代理人として行動することを想定していると思います。
 日常時は「相談」ですが、それによって、困っていることが分かれば、弁護士が出て行く、というイメージでになるとおもいます。

 確かに、役所での応対も、うまくできるかどうかはその人の置かれた状況によります。
 生活保護の場面でも、本当に援助が必要な人が、伝えるべきことを伝えようとしても応じてもらえない、というケースも実際多いです。
 私も仕事で必要があって、受給希望者の方に代わって、生活保護課の方とお話しすることがあります。
by hm (2013-07-19 18:01) 

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