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RadiCro 第3回 

 私が担当するインターネットラジオ番組(月1)の第3回(1月号)が放送ずみで、バックナンバーも事務所HPにアップされています。
※ ツマミで「3分」あたりにあわせてから聴いて頂くのがオススメです(すぐに内容を聴くことが出来ます)。

 http://www.kobeseaside-lawoffice.com/radio

 1月といえば成人式!ということで若者に関するテーマをとりあげました。

・3:00ころ~ ニュースのツボ 「18歳選挙権」
・19:00ころ~ 法律相談 「アルバイトを辞めさせてもらえない ~ブラックバイト問題~」

 毎回ですが、番組作りをするための準備(ニュースや、話題に関する法令調査など)も勉強になっています。

  神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹


弁護士ドットコムニュース「改憲と教育無償化」 [時事ニュースから]

 弁護士ドットコムニュースにコメントしました。

「改憲」で幼稚園から大学まで「教育無償化」案、憲法で定める意味はあるの?
https://www.bengo4.com/internet/n_5581/


 幼稚園から大学まで教育無償化するために憲法を変える必要があるか?

と聞かれれば、

 その必要はありません

という答えになる、という話をしています。

 憲法は、基本的には、
「国の権力の暴走をストップさせる」
「国民の権利・自由を確保する」
というためにあるものです。
 これを立憲主義といいます。

 ですので、教育無償化のように、国が国民に利益を与える、あるいは、国民の学習権を充実させるということは、憲法に規定がなくても、国はそれが良いことだと思えば「やってかまわない」ことになります。

 もちろん、今の憲法の教育無償の範囲を拡げることは基本的に良いことだと思うので、条件が整えば、そういう憲法改正には賛成です。

 ですが、教育の無償化拡大そのものは憲法を変えなくても実現は可能です。

 実際には、教育無償を拡大するためだけに憲法改正するということは現実にはなく、憲法全体を改正することがあればそのタイミングで教育無償の範囲を拡げる改正も考える、という事になると思われます。

 神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹

 


謹賀新年(2017年) [弁護士業について]

 皆様、明けましておめでとうございます。

 私も今日が正式に仕事始めです。

 いつもは日々、あれもこれも(やりたい、やらねば)、と欲張ってしまう私ですが、年末年始はそれを一旦離れてリフレッシュしました。
 また、一年の計、人生の計を自由に考えることができました。

 さて大晦日の紅白歌合戦の感想を。
 
 私の印象に残ったのは、Xでした。
 「紅」は私もカラオケでよく歌う大好きな曲。
 私は、いつもTOSHIさんの美しい歌声に一歩でも近づきたいと思っています(本当に)。

 そして、活動休止のニュースの「いきものがかり」。
 元気の出る楽曲に、吉岡聖恵さんの明るく厚みのある歌声。
 私、いっときは、発売されたアルバム全制覇していた時期がありました。
 お疲れ様。ゆっくり「放牧」して、もしよかったら戻ってきて下さい、と言いたいです。

 今年は、今までより一層、積極的に、もっともっと皆様の頼りになる弁護士になるべく精進していきたいと思っています。

 どうぞよろしくお願いします。


  神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹


今年もお世話になりました(2016年) [弁護士業について]

 あっという間に年末を迎えました。

 依頼者の皆様その他色んな場面で関わりのあった方々、大変お世話になりました。

 弁護士も17年になりました。
 生活や人生を積極的に楽しむ、ということがモットーである私は、やはり、弁護士業においても、トラブルに見舞われている方の負担を私が関わることによってできるだけ軽くして、人生を「楽しめる」心境に近づいて頂きたい、という思いで日々仕事をしてきました。

 事件を数多く処理してきた分野もあります。

 先物取引等(金融商品)の被害案件
 交通事故
 労災事故
 相続
 不動産関係  など

 しかし、数多く処理しても思うことは、結局、その分野の事件を「初めて扱った」とき、と同じ気持ちでやることに尽きる、ということです。
 
 知識、経験が助けになることは間違いありませんが、やはり、その事件にはその事件の顔があり、依頼者の方それぞれに個性があり、それぞれの思いがあります。

 それを、「(過去の事例から)パターン化したものにあてはめる」ような目ではなく、ただ真っ直ぐな目で見て、

・ その人にとって何が最善か。
・ その人に対して、どういう風に話していけば、うまく心一つに事件に向かっていけるか。
・ その事件について、何が結果を左右するポイントか。
・ 望む結果を得るためには何をすることが必要か。

を、その都度、その都度、考え続けるしかない、ということです。
 逆に「慣れ」あるいは「馴れ」のほうが恐ろしい部分があり、「日々新鮮な目で」ということを心掛けなければならないと思っています。

 「日々新鮮」というならば、自分自身がフレッシュな感覚を維持していなければ、なかなか難しいことです。
 その意味では、今年は色んなことにチャレンジできました。

 弁護士業そのものでどんなことをしているかはここでは書けませんが、本来的業務以外では、

11月から始めた ネットラジオ RadiCro

つい先日12月15日の 18歳選挙権出前授業

などは、新鮮で、とても貴重な経験になっています。
 
 趣味の方面では、今年は、今までで一番と言っていいくらい、スポーツがたくさん出来た年でした。
 ジムには年間通して平均週3日くらい通うことができ、時間に余裕が出来たときは、小1時間適度な運動をしてコンディショニングするという習慣が完全に自分のリズムになりました。
 草野球(弁護士会野球チーム 神戸ドルフィンズ)にも、たくさん顔を出すことができました。その繋がりで、練習試合に相手となった他チームにも練習や試合に呼んで頂けるようになり、交流の輪も広がりました。内容は相変わらず、「どんくさい」ですが。
 来年は「好きこそものの上手なれ」で、トリプルスリー(打率3割、長打3本!、盗塁3個!)を目指そうと思っています。
 体を動かすと、やはり、思考や発想もアクティブ(ポジティブ)になる、ということを、40歳を超えた今だからこそ強く実感できています。

 また、今年は弁護士業界だけでなく、他の業種の方々とも色んな機会で交流することができ、人と人との繋がりの大切さを、これまた「強く実感」しています。
 当たり前のことなのですが、私の人生経験の中で、「大切さ」「価値」が以前より実感できるようになっています。
 
 心身共にフレッシュでありアクティブである状態を維持する、というのは、私が仕事をしてより多くの依頼者の皆様の役に立つために欠かせないことだと思っています。

 そして、自分の「人」に対する洞察力、想像力をもっと育てて、より頼りがいのある弁護士になりたいです。これは本当に日々勉強です。

 ともあれ、今年はとても充実した日々を過ごさせて頂きました。
 予定も目白押しで、師走などは本当に走り去ったような実感です。
 日々の私の営みは全て、人の助けなしでは成り立たないものばかり。
 
 今年関わりのあった皆様全てに、ありがとうございましたと御礼申し上げます。

 来年もどうぞよろしくお願いします。

神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹

 

民事裁判 「判決日」には何をする? [法律案内]

 弁護士に依頼して民事訴訟(裁判)を起こしました。

 たとえば、AさんがBさんに対して貸金500万円を支払え、として訴えた裁判だったとします。
 Bさんは「そんなの借りた覚えがない」として争っていたとします。
 
 裁判が最終盤まできて、ある期日で、裁判所が

「審理を終結します。
 判決言渡期日は平成28年12月8日午後1時です。」

と言いました。

 さて、この「判決言渡期日」には何が行われるでしょうか?
 この日には、「誰が」「何を」するでしょうか?
 Aさんはどうすればいいのでしょうか?
 Aさんの弁護士は何をするのでしょうか?
 「判決言渡期日」の前後について、気をつけなければならないことがあるでしょうか?

 これは、弁護士に依頼して裁判を進めた人が、丁寧に弁護士から説明を受けないと、結構分からなくて「どうすればいいの?」となりがちなことなので、今回の記事で説明させていただきます。

1 「判決言渡期日」には何が行われる? 

 テレビで見ると、民事裁判でも大きなニュースになる事件(例えば、国に対して薬害などを訴えた事件など)では、

「勝訴」とか
「不当判決」とか

大きく書いた紙を持って、弁護団の若手弁護士が裁判所から出てくる映像が、多くの方の「判決言渡期日」のイメージではないでしょうか。

 これは特殊な例です。

 通常の裁判の場合は、裁判所が、「主文」といって、判決の結論部分だけを読み上げて終わります。

「1 被告は、原告に対し、金500万円及び平成26年5月24日より支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。」
「2 訴訟費用は被告の負担とする。」
「この判決は仮に執行することができる。」

という感じです。
 
 そして、多くの裁判では、「判決言渡期日」には当事者も弁護士も出頭しないことがほとんどです。(これは刑事裁判との大きな違いで、刑事では、被告人、弁護人、検察官が必ず出頭して判決言い渡しがなされます。)
 
 ということは、民事裁判では、

裁判官が、当事者がだれも出頭いない状態、いわば、観客ゼロの状態で、判決を読み上げることが多い

ことになります。経験のない人には、とても空しい絵に思われるでしょう。
 双方の弁護士もなんてやる気がないの?という感じを抱くかも知れません。
 誰も出頭しなくても「言い渡し」はしなければなりませんから、裁判所は判決の主文を読み上げます(これは省略しません)。

 当事者が誰も居なくていいのか?と思いますが、次の条文の通りで問題ありません。

民事訴訟法251条2項
 判決の言い渡しは、当事者が在廷しない場合においても、することができる。 
 
2 当事者は?弁護士は?当日なにをする?

 上のようなことなので、判決言渡期日に当事者は出頭しなくても構いません。
 例でいえば「Aさん」は出頭しなくても構いません。

 でも判決がどうなったか気になるじゃないか!

というのは当然です。もちろん、出頭しても構いません。

 じゃあ、肝心の「判決言渡期日」に弁護士は裁判所にも来ず、何もしないの?というのですが、「判決言渡期日」における弁護士の仕事は次のとおりです。

 裁判所まで行っても、実際に聴くことができるのは「主文」だけです。
 「主文」(結論)だけでは、なぜ裁判に勝ったのか、負けたのか分かりませんし、判決の理由を読まないと「次」(註 後で説明します)に向けてどう動くべきかの判断もつきません。

 ですので、要は当日、判決の結果さえ把握できればいいのです。
 多くの場合、弁護士は、事務所から裁判所に電話をかけ、

「本日午後1時言い渡しの○○事件の判決内容を教えて下さい。」

と尋ねます。そうすると、裁判所書記官が、判決内容を教えてくれます。これは普通のことなので、「横着しやがって。法廷まで、聴きに来んか!!」と怒る書記官はいません。

 そうして、当日に判決内容を聴いて、依頼者に電話などで伝えます。
「地裁で、あなたの請求が認められましたよ。」
「残念ながら判決は当方の負けでした。」
と。

 後日、判決書ができあがったら、弁護士(多くは事務員)が裁判所に取りに行くか、事務所に送ってもらいます。
 どちらの方法でも、弁護士(又は事務員)が受け取ったら、「判決書」が「送達」されたことになります。
 この「判決書」を見て初めて、勝った・負けたの理由が分かりますし、判決が納得いくものか、それとも間違った判決なのか、ということの検討が出来るようになります。

 以上のようなこと(実務の通例)は、普通の人は知りませんから、弁護士が当日のことを事前によく説明しておいたほうがいいです。

 私が受けた「他の弁護士の苦情相談」では、

「○○先生は、一番肝心な日に裁判に来なかった。どういうつもりか。信じてついてきたのに、残念で仕方が無い。」

という訴えがありました。もちろん、ここでいう「一番肝心な日」とは「判決言渡期日」のことです。
 説明されなければそう思うのも無理はありません。
 当事者にとっては「運命が決まる日」に他ならないのですから。
 私は、その方に、上で説明した「判決言渡日とはどういうものか」と、その日、弁護士はどういう仕事をするのか?を説明しました。
 そうすると、「なんだ、そうだったの。」と納得されました。が、「それならそうと説明してくれないと、分からないじゃない!心配したじゃない!」とも仰っていました。
 もっともです。

3 判決言渡日前後に気をつけなければならないこと

 何と言っても、

判決言渡日の後2~3週間は、なるべく弁護士と連絡が取りやすい状態にしておくべきだ

ということです。

 大事なのは、判決の「次」の準備です。

 つまり、

判決で負けた場合に不服申立をするか?

という点です。

 例えば、

神戸地方裁判所での判決に対して、負けた場合に、大阪高等裁判所に「控訴」するか?

です。

 まあ、これは「判決が出て、判決文を読んで、その内容次第で考える」でよいのですが、うっかりしてはいけないのは控訴期間です。

民事訴訟法285条 控訴は、判決書(略)の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない。

 まず基礎知識として「2週間」です。
 この期間を過ぎてしまったら、泣いても笑っても、判決は「確定」してしまいます。

 依頼している弁護士が控訴する場合に、通常は、次のものが必要です。

(1) 控訴状    
 これは弁護士ならすぐに作れます。
 難しい事件でも控訴の理由を細かく書く必要はありません。
 「控訴する」趣旨を書いて、控訴の理由は「追って」と書けば良いです。

(2) 委任状    
 控訴審(例では高等裁判所)用の委任状が、第1審(例では地方裁判所)用に提出したものとは別に必要です。

(3) 控訴費用
 控訴状に印紙を貼って出さなければなりません。
 また、所定の郵券も納めなければなりません。

(4) 控訴審の弁護士費用
 これは弁護士との間の取り決めによります。

 上の(1)~(4)が揃わなければなりません。
 (3)(4)はお金です。「判決言渡期日」のあたりには、控訴する可能性がある場合に、必要なお金の準備をしておかなければならないということです。
 
 (2)は委任状に名前を書いてハンコを押すだけですが、弁護士と依頼者がなかなか連絡を取れないケースもたまにあります。
 長期出張、海外旅行、病気療養などで2週間連絡が取れず委任状ももらえなければ、場合によってアウトです。
 ですので、判決言渡期日付近(特にその後2週間)のスケジュールは確認しておいた方が良いです。
 委任状のこともありますが、2週間の間に控訴すべきかどうかを相談しなければなりませんから、弁護士と依頼者が連絡を取りやすい状態であるようにしなければなりません。
  
 「2週間」について細かく説明すると「判決書の送達を受けたとき」から「2週間」です。
 これは、本人が判決書の写しを弁護士からもらったときではなくて、「弁護士が裁判所から判決書の送達を受けたとき」です。
 2週間の数え方ですが、初日は数えません。翌日から2週間。
 つまり、

 12月8日  金曜日 判決言い渡し
 12月12日 月曜日 弁護士事務所に判決書が送達されてきた

という場合なら、翌13日から指折り数えて14日目、すなわち、26日月曜日が控訴期間満了の日ということになります。
 弁護士の中には、「月曜日に送達があって、控訴がなく、次の次の月曜日(同じ曜日)が経過すれば判決は確定する」という風に頭を整理している人が多いようです。

 結構あっという間なので、この期間は、弁護士と密に連絡を取れるようにしておいてください。

 控訴する場合は、何はともあれ、期間内に控訴状を出す(弁護士に出してもらう)のです。
 理由を考えるのは後からで構いません。

民事訴訟規則 182条
 控訴状に第一審判決の取消し又は変更を求める事由の具体的な記載がないときは、控訴人は、控訴の提起後五十日以内に、これらを記載した書面を控訴裁判所に提出しなければならない。

というルールになっていて、つまり、

とりあえず2週間以内に控訴状

理由はその後50日以内(これは随分余裕がある、と言っても結構すぐに来ますが…)に、しっかり練って書いて出せば良い

という仕組みです。

 ですので、例えば第1審(地方裁判所)で弁護士を付けずに裁判をやって負けたとして、
「どうしよう!控訴期間は2週間しかない。2週間で事件を初めから分かってもらって、バッチリ準備して、なんて頼める弁護士なんかいないんじゃないか…」
と考えて不安になってしまう必要はありません。
 不服があってこのまま裁判を終わらせたくないなら、ともかくも「控訴」するしかありません。
 その後、弁護士をつけるならつけてじっくり作戦を一緒に考えてもらう、ということでよいのです。

 最後は、控訴の手続についての説明になりましたが、「判決言渡期日」の前にある程度は控訴の手続についてもイメージを持っておいてもらったほうが安心でしょうね。

 控訴審(多くは高等裁判所)では何をする?については、また機会があれば書こうと思います。

  神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹



 

RadiCro番組 第2回

 先月から始めたネットラジオ番組第2回の放送バックナンバーが出来ています。
 聴いて頂ける方は、イントロが結構長いので、ツマミで「3分」あたりに動かして聴いてもらうとすぐに内容に入れます(オススメ)。

バックナンバーのページ
http://www.kobeseaside-lawoffice.com/radio
・3:00ころ~ ニュースのツボ 「賛否両論!カジノ法案」
・17:00ころ~ 法律相談 「おばあちゃんの定期預金が引き出せない ~成年後見制度」

 今回からは、アシスタントを「やい姉」さんという女性が務めて下さっています。
 とても、優しい語り口で番組を聴きやすく整えていただいています。

 前回から相手をして下さっている「ジャッキー」さんも交えて3人でトークしたのが前半部分の「カジノ法案」について。
 成立したばかりの「カジノ法案」について、賛否両論、世の中の議論をぎゅっと凝縮したようなトークになりました。

 後半の法律相談は「成年後見制度」。
 私が、最近、力を入れている分野の一つ。
 「成年後見制度」は「おばあちゃんになっても最後まで自分らしく生きられるようにするための制度」です。

 番組では、

誰が手続をするの?
どこに申し立てるの?
誰が成年後見人になるの?

などを具体的に解説しています。

 産まれたばかりのネットラジオ番組ですので、未だこなれていない部分が多々あると思いますが、これからより、聴きやすく、面白く、タメになるものにしていきます。
 こちらもどうぞよろしくお願いします。


【5完】高校への出前授業「18歳選挙権」行ってきました~その5 [だから,今日より明日(教育)]

※ このシリーズ中に「スマホで読みにくい」という指摘を受け、レイアウト変更しました。
  スマホでも読みやすくなりました(横幅が一画面におさまってくれました)。

 出前授業続きです。
 この記事でレポ終わりです。
 「主権者教育」は始まったばかり。まだ、試行錯誤の段階です。
 これから、弁護士会も私も「主権者教育」をやっていくだろうし、もっともっといいやり方がないかを探求していくと思います。また、学校の先生も「主権者教育」の研究・準備を始められていると思います。
 今回の私の経験が、私自身の、また、「主権者教育」に関わるどなたかにとって、何らかの役に立てばうれしいと思って書きました。
 また、中高生、大学生、10代、20代の方がこのレポ記事を見つけて、「選挙について、同年代の人たちはこんなことを考えているのか。自分だったらこうだな・・・」という風に読み進めてもらえたら、最上の喜びです。

(ここまで)
 その1 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
 その2 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
 その3 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17
 その4 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17-1

 最初の選挙どうする?の話、民主主義と少数意見の話などをしてきました。

 最後は、実際の政治テーマ2つについて考えてもらいました。


政治テーマ その1 大学授業料を無償にする政策

Q1 シンプルに、「大学授業料を無償にする政策」に賛成か反対か?

を最初にききました。
 賛成が大多数。
 大学進学を予定している生徒さんが多いこともあるし、これ自体は良いことに違いありませんね。

 しかし、問いを次のように変えてみると・・・

Q2 「大学授業料を無償にする」+「消費税を8%→12%に上げる」 

 今度は、反対のほうが多数派になりました。
 賛成の方も一定数いました。

 訊いてみると・・・

反対意見
「大学進学するので自分はありがたいけど、進学しない人にとっては損では」  
「自分でお金を払っているからこそちゃんと勉強しようと思う」

賛成意見
「大学教育を受けられる人が多くなることは社会のためになると思う」

 どれも、それぞれに理由のある意見。
 
 政治問題というのは、絶対の正解があるわけではなく、どちらにも理由がある、というものだとわかります。
 
 その中で、「自分は何を重要視したいか」を考えて、自分の意見を言う、というものです。
 政治問題を考えることは、自分の価値観と向き合うことでもあります。

 政治に参加する人(主権者)としては、次の2つがどちらも必要です。

 自分と違う考え、価値観があることを認める(反対の意見も尊重する)。

 自分の意見を言う。

 補足すると、「どれだけ高い税金を取るか」と「教育、福祉にどれくらい国がお金を出してくれるか(自己負担が減るか)」はかなりリンクしています。
 
北欧(フィンランド、スウェーデンなど)のように「税金は高いが教育・医療はほとんどタダ」という国

アメリカのように「税金は安いが教育・医療は自己負担」という国

という「国のデザインの仕方の違い」に関係します。北欧、アメリカの中間のデザインの国が多いのですが、その中でもどっちの色合いが濃いか、国によって様々です。
 この大学授業料の話も、深く考えると、日本が「国のデザインの仕方」としてどういう国を目指すのがいいのか、という大きなテーマに関係してきます。

政治テーマ その2 カジノ解禁?

 正直言って、この出前授業の企画をはじめたころ(11月初旬)には、私は「カジノ法案」が今国会で成立するということを全く考えていませんでした。
 ところが、何と、この出前授業を行った15日未明に「カジノ法案」(カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)整備を推進する法案)が国会で成立した、というすごいタイミングになりました。
 
質問 今まで「賭博」として違法とされていたカジノを合法化する政策に賛成ですか?
 
 会場の答えは賛否分かれました。
 生徒さんは反対のほうが多かったでしょうか。
 
 壇上の人に聞いてみました。

反対意見 
 「治安が悪くなる。ギャンブル依存症が心配。」

賛成意見
 「うまくいけば経済活性化につながる。ギャンブル依存症対策をしっかりやれば大丈夫だと思う。」

 これは、今回の国会での賛成意見・反対意見とも同じです。大人とそん色ない議論。

 ここで「議論の切り口」「頭の整理の仕方」のテクニックを2つ紹介しました。

切り口1 「目的手段 

 これを意識して議論する。
 カジノ反対意見の生徒さんに、この切り口で意見を述べてもらいました。

「経済振興、外国人客を呼び込みたい、という目的は分かる。
 しかし、その手段として、何もカジノのような危険なものでなくてもよいのではないか。
 日本の『おもてなし精神』をさらに活かす、観光資源を活かすなどの方法で目的を達成できると思う。」

 こうなると普通レベルの大人の意見よりも洗練された感じがします。

切り口2 「必要性許容性

 これは、どちらかいえば、賛成派とか、何か政策などを提案する人向けかも知れません。

 カジノ賛成、推進意見として、

「今、経済活性化の起爆剤が必要だ」 ・・・ 必要性
「治安の悪化、ギャンブル依存症が心配されるが、それにはこういう対策があるから大丈夫」 ・・・ 許容性

という論じ方をする、ということです。
 上の賛成意見の生徒さんは、議論の組み立て方として、初めからこの「必要性と許容性」に触れてくれています。組み立てがしっかりできる、というのは論理力があるということですから、とても頼もしいです。
 今回は討論してくれた生徒さん全員の発言のレベルの高さには本当に感心しました。高校生にはこれだけの論理力・表現能力が備わっているのだな、と改めて感じました。

 また、「必要性と許容性」は「説得」のテクニックというよりも、何かの政策をやろうとする人のチェックポイントという意味もあります。
 何らかのアイデア(ここではカジノ)があったとして、「必要性」があるか、「許容性」があるかを両方ともしっかり検討して提案するかどうかを決める、というチェックポイントです。
 このチェックが甘いと、提案しても、みんなに賛成してもらえなかったり、痛いところを突かれるとボロボロになってしまったりします。

 
 上のように政治テーマ2つを考えてもらいました。本当はもっとじっくりやりたかったですが、時間が押していたので短時間になってしまいました。

 最後に、

質問  友達同士で政治の話をしますか? 

 これは、ほとんど「しない」という人(ブルーの札)が圧倒的多数でした。
 これは今の大人も近い状況なのだと思います。

 しかし、今回の授業、討論でやったように、政治について

「しゃべることは、考えること」

です。

 確かに、政治の話は価値観の話でもあるので、自分の正直な価値観をそのまま出すのは抵抗がある場面もあります。

 将来、母親になって、子供同士が幼稚園で一緒のいわゆる「ママ友」同士の付き合いの中で、

何党を支持しているのか

などの話題は避ける人が多いでしょう。
 
 できれば、政治に対する考えは違っても親友は親友、という付き合いが理想です。私には、親友でありながら、政治に対する発想は正反対で、2人で飲んだらつい議論してしまう、という人もいます。
 ただ、そういう付き合いができる人ばかりでもないし、集団によって「多数派」が違ったりして、どうしても政治の話題は避けたほうがいい、と考えることも実際ありますね。

 学校で、政治テーマについての議論(ディスカッション)をするとき、「自分の政治思想を明らかにすることに抵抗がある」場合には、次のような方法があります。

 例えば、「憲法9条を改正して、軍隊を保持することを明記することに賛成か、反対か」というくらい主義主張が分かれるテーマについて、

教室の右半分  賛成派
教室の左半分  反対派

と役割を決めて、(自分も元々の考えは別として)その役割になりきって議論する、というやり方です。
 
 外国の学校ではこういうディスカッション形式の学びをたくさんやっているそうです。
 
 自分の意見を言うトレーニング
 理屈を考えるトレーニング
 反対側の意見の理由、発想を想像するトレーニング
 何が対立点か見極めるトレーニング

になると思います。
 
 今、高校では、「主権者教育」(生徒が政治の担い手になれるようにする教育)をしなければならないと言われていますが、同時に教育は「政治的中立」であるようにも求められています。
 先生が一方の意見を押し付けてはならない、ということですが、政治のテーマを深く掘り下げるならば、どうしても何らかの価値観が出てくるし、ときに現状の政治の批判になることもあると思います。
 ここが、現場の先生方を悩ませることではないか、と思います。

 そんな中でも、上に紹介したような、役割を決めての「ディスカッション」という方法は、高校などの教育現場で取り入れやすい方法ではないでしょうか(すでに取り入れられている先生方も多くおられるでしょう)。
 生徒はどちら側の意見も自由に言いやすいし、先生もコメントしやすいと思います。

 とにかく、政治テーマについて(他の何ごとも本質は同じですが)、

しゃべることは考えること 

です、ということをお伝えして時間になりました。

 
(このレポート記事結び)
 
 神戸鈴蘭台高校
 90分 全校生徒 1000人 体育館

の弁護士会からの出前授業「18歳選挙権」は以上のとおりでした。
 このレポート記事のうち【4】【5】は、実際にしゃべったことに、文章での解説をかなり足しています。

 今回の出前授業までの準備(講師である私に関するもの)は次の通りでした。

 10月ころに企画が決まる。
 
 11月下旬  高校での打ち合わせ  私と先生、(当日壇上で討論する)生徒さん 1時間半くらい
         この打ち合わせに基づいて、当日の計画、テーマ設定を決める。
 
 12月5日ころ 私の作成した「事前課題」プリントを全校生に配布してもらう。
           「事前課題」は、 2016参院選での投票率(18,19歳、そのほかの世代)調査など。
           
 12月13日ころ 当日のテーマに関する登壇予定の生徒さんたちの意見を、担当の先生から伝えてもらう。           表にまとめて、私にメール送付していただきました。
           これは、構想を練るうえで、非常にありがたかったです。
           
 12月15日  出前授業実施

 以上から分かるとおり、私の準備に対応して、学校側、先生、生徒さんに精力的な準備をしていただけたからこそ、90分でこのレポート記事(その1~その5)のような多数のテーマを扱うことができました。

 この授業の様子を録音、録画したものを見返しました。
 生徒さんの発言、先生の発言などが、授業全体の流れをうまく形作っています。
 一方で、今思うと、私のトークについて、「ここでこういう風に話したほうが良かった(盛り上がった)なあ」などと気づくこともたくさんあります。
 
 とにかく、18歳選挙権も、高校での主権者教育も、今始まったばかりなので、私のレポートした試みのほか、同じように、全国で行われているであろういろんな試みの情報が集まって、よりよい授業、学びのあり方が産まれるよう願っています。 

 今回の出張授業は私にとって非常に貴重な経験(普段の弁護士業務とはまた違った経験)であり、こんな機会を与えて下さった神戸鈴蘭台高校に大変感謝しています。

 これで、レポート記事は終わりです。
 この長い記事を読んでくださった読者の皆さん、ありがとうございました。

 
神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹                     
 

 

【4】高校への出前授業「18歳選挙権」行ってきました~その4 [だから,今日より明日(教育)]

出前授業続きです。

 その1 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
 その2 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
 その3 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17

 選挙に行くとはどういうことか?という話を、生徒さんや先生と討論しながら進めてきました。

 そして、

テーマ4 表現の自由 少数意見は大切か?

に入ります。このコーナーは、私が特に伝えたかったことです。
 
 表現の自由は憲法21条で保障されています。
 憲法の保障する人権や自由の中で、一番と言ってもいいくらい重要な地位にあります。
 
 表現の自由の持つ、大切な意味、役割は2つ。
 
 「自己実現」「自己統治」。このキーワードを覚えて帰って下さい、と。

 「自己実現」 
 これは分かりやすい。
 ミュージシャンが、自分の感覚などを音楽で表現するなど。
 西野カナには西野カナの世界、サザンにはサザンの世界がありますよね。
 自分を自分らしく活かしていく、ということです。

 では、もうひとつの「自己統治」という意味、役割はなんでしょう。これが、今回の「選挙権」に関係するのです。

 「自己統治」
 国民が自由にモノが言えることが、民主主義に必要だということです。
 自由にものがいえるからこそ、国民が国を動かしている(自分で国を統治している)といえるのです。

 ここまで。
 憲法の教科書に載っていることです。

 ですが、実際に教科書通りに行くか? が、皆さんに尋ねてみたいことでした。

 選挙というのは、要するに多数決です。
 多数の票を取った人が必ず正しいのでしょうか。
 少数しか集まらない意見はどうなる?

Q1 「100人中90人が賛成することに、反対する人に対して、あなたはどんな印象を持ちますか?」

 討論に参加していただく生徒さんには、10日くらい前にこの質問をしておき、事前に考えてきてもらいました。

 「表現の自由は大切です」と教科書通りにはだれでも言えます。

 しかし、現実に何かを決めようとしているとき、「流れ」が決まっていて、9割賛成の「空気」ができあがっていて、そんなときに、

流れぶった切って、「ちょっと待ってください」という人

に対して、

うざい、面倒くさい、空気読めない

という印象を持つことがありませんか、という問いです。

 「うざい」までは思わないかもしれませんが、「えー、何なのよ、もう?」くらい思うのはごく自然なことです。
 私も、例えば、学生のとき生徒会にいたとき、弁護士会で役員をしていたときとかにはそう思いました。
 会議で、質問とか反対意見とかできるだけ出ずに、提案した議案がスーッと通ったらいいなあ、というのは正直な気持ちです。(だって、みんな色々忙しいですから。)
 
 さて、この「100人中90人が賛成することに、反対する人に対して、あなたはどんな印象を持ちますか?」
に対して、私がとても感心した生徒さんの意見。

実は大切な人ではないかと思う」
「少数だと意見を言うのに抵抗があるかもしれないのに敢えて言える人」
「その意見を聴いて、90人の人の中にも違った考えができるかもしれない」

 私が感心したのは、最初の「「実は大切な人」という表現がすごくピッタリだったことです。
 なんてセンスのいい表現のできる生徒さんだろう、と。
 事前に考えてもらっているから即席ではありませんが、この出前授業のために自分の頭でここまで考えてこられた(予習ですね)、素晴らしいと思いました。
 討論に参加された他の生徒さんも、意味としては同じことを考えてきてくださっていました。

 もう私からの解説は不要なくらいでした。
 一つだけ付け加えるとすれば、憲法の「表現の自由」の意味は、少数意見でも自由に言えるようにするという意味だ、ということです。(なぜなら、多数意見や社会の空気に合う意見はもともと言いやすい、たとえ憲法で保障されなくても言えなくなることは滅多にないだろうから。)

 さて、少数意見は大切。
 ですが、まだまだこれでは「きれいごと」かも知れません。
 もっと深く考えたい。

Q2 「選挙に出ても大差で敗れる人をあなたはどう思う?」

 これを問うてみました。
 どこかの市長選挙で

  福山はるまさ 10万票  当
  山田太郎    1万票  落

だったとしたら、山田太郎さんに対してどう思いますか?
 もし自分のお父さんだったらどんな気持ちですか?

という、ちょっとキツイ問いです。

 やっぱり数字で出て「負け」ですから、ちょっと辛いのではないでしょうか。

 私は阪神タイガースのファンですが、巨人に10-1で負けたときのような辛さを感じないと言ったらうそになるでしょう。

 さっき少数意見は大切という話をしました。
 多数派でないのに立候補した山田太郎さんは「実は大切な人」の可能性があります。
 
 事前にきいていた生徒さんの意見では

「こういう人が選択肢をつくってくれる。だから意味がある。」

というものがありました。確かにそうです。

 さらに、次の生徒さんからのコメントも大切なことを含んでいました。

「(落選した人は)なぜあかんかったのか、よく考える必要があるのじゃないか」   

 一見厳しいですが、これは、私はとても大切だと思います。
 
 政治というのは、自分が正しいと思っているだけではどうにもならないのです。
 これも伝えたかったので、上の生徒さんの発言に注目しました。

 たとえ「正しい」と思っていたとしても、そのことを多くの人に分かってもらって、支持してもらう人を増やして初めて、自分の考えが実現できます。世界を良くできます。
 「伝える力」が必要です。

 山田太郎さんは、勇気をもって出馬したことは貴重です。
 ただ、これで終わってはいけない、まだやるべきことがある、もっと努力すべきことがある(「もっと人に伝える、支持を広げる努力をすべき」)、という状態の人かもしれませんね。

 このあたり、かなり難しい内容かなと思いますが、ここからちょっと話題を変えて・・・

映画、マンガ、少し前に現実にあった出来事」と配布資料に書いたお話を。

 まず映画、マンガの話。

大ヒット映画「君の名は」(私も観てきました。家族はみんなもう観たというから、一人HAT神戸で http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-11-04

のことを考えてみます。

 まだ上映中ですから、あまりネタバレできません。
 考えてみれば、この出前授業では少しネタバレが過ぎたか、と反省しています。
 このブログは文章で残ってしまうから、さらに慎重に書きます。

 「君の名は」の中では、接近する「彗星」に秘められた「あること」があって、それを知ってしまった人が・・・(☆書けません)というシーンがあります。
 
 例えば、過去へタイムスリップする映画、ドラマ(「仁-JIN」など)では、

そのあと起こる出来事(悲劇)を知っている主人公が、懸命にその「バッドエンド」を避けようとする

ということがよくあります。

 また、SF物などでも、

「私だけが知ってしまった。」 「このままでは世界が滅んでしまう。」 「みんなに知らせなきゃ!!」

というストーリーのものがあります。

 これって、最初の状態は、

圧倒的に少数意見

です。
 こういう話は、当然ですが次のような展開になります。

「聞いてください。このままでは○○なことが起こる。だから、それを避けるために・・・」
「はあ?お前何言っているんだ。おかしくなったんじゃないか」(と言って取り合ってもらえない)

 だから、

世界(社会)を救う意見は少数意見から始まることがある

ということは、みんな、映画でも、マンガでも沢山観てきたはずなのだ、という話。

「いやいやいや、そんな安直な、弁護士さん。それはあくまで映画やマンガの世界でしょ。」

と発言した方はおられませんでしたが、こんな風に思う人はいるかもしれません。

 が、現実の世界でもこれと同じことはあるのです。


 少し前に現実に起こった出来事  福島第一原発事故(2011 東日本大震災のとき)

のことをお話ししました。

 この事故は、地震で電源が落ちたため核燃料を冷却することができず、また、そういう事態に備えたはずの予備用の電源も津波のために使えなかったために、核燃料が過熱し水素爆発に至った事故です。

 原子力発電所の事故の危険について警告する声は、2011年以前にもありましたが少数の声でした。
 さらにいえば、具体的に、「地震と津波によって主の電源、予備の電源ともに失われ事故に至る危険がある」ことを指摘していた人もいた、というのです。

 ですが、多数の人(私も含めて)は、

日本の原発でまさか大きな事故は起こらないだろう

と思っていました。

 私は、「地震と津波によって主の電源、予備の電源ともに失われ事故に至る危険がある」などと言っている人の存在も知りませんでした。もしかしたら、どこかで聞く、見るチャンスがあったかも知れませんが、関心を持っていませんでしたら、そういう声を一回聴いても「まさか」と思っていたことでしょう。

 この話は、事故の具体的な危険性を指摘していた人が偉い、という話ではありません。

 危険を指摘していた人は、原発事故が起こったときどういう気持ちだったでしょうか。

 「ほらみろ、俺の言った通りだろう」と威張る気持ちになれるでしょうか。
 決してそうはなれないだろう、と思います。
 むしろ、

「自分は分かっていたのに、止められなかった」
「もしかすると、多くの人がふるさとから避難しなければならない事態を避けられたかも知れないのに」

と、「分かっていた」「知っていた」だけに辛かったのではないでしょうか。
 自分が、それを止めるのに必要な人にもっと上手く伝えられていたら、と思わずにはおられなかったのではないか、と思います。

 一方、原子力発電所を管理する側の国や電力会社の人たちとしても、「なぜ、危険を指摘する声をもっと重視して対策を打たなかったのだろう。そうすれば今のような事態を避けられたのに」と思っているでしょう。
 
 私のような多数の人(原発事故の危険をあまり深く考えたことがなかった人)としても、
「考えてみれば、地震列島の日本で原発は危険だった。もっと安全を重視して対策をさせる方向で声を上げるべきだったのではないか」
「危険を指摘する声に自分はなぜ真剣に耳を傾けなかったか」
という後悔が残ります。

 結局、社会のことは一人だけではどうにも動かせないのです。

 「みんなに伝えるべきこと」「社会を(世界を)救えるかもしれない意見」を自分は持っていたとして、それを多くの人、または、政治を動かせる立場にある人に伝え、分かってもらい、行動に移してもらわなければなりません。

 高校の先生は、

「それにはコミュニケーション力が必要ですね」

とコメントされていました。その通りだと思います。

 少数派、少数意見から始まって、多くの人に理解してもらおうと思うならば、間違っても、自分の意見に反対の人を「バカ」呼ばわりしてはいけません。そんなことをしたら絶対に叶いません。
 自分と反対の意見を持つ人がなぜそう考えるのかも想像しながら、分かるように伝える努力が必要です。
 そうしたら、今は少数意見でも、いずれは多数意見、あるいは常識になっているかもしれません。

 少数意見から始まる こともある

ということだと思います。

 また、例えば、たとえば国の政治でも、野党が言っていることでも「これは大事なことだ」と思えば、政府・与党がそれをパクることは「全然アリ」です。
 多数派の人が、少数意見に耳を傾け「それももっともだ、もう一度考えてみよう」となること。
 素晴らしいことだと思います。

 社会を良くするためのアイデア・知恵に著作権はありません。みんなが自由に使える財産です。
 
 だから、若い皆さんには、自分の支持政党を考えることもいいことだと思いますが、いつでも柔軟に、何党が言っているかに関わらず自分の頭で考えて良いことかどうか判断してもらえるといいと思います。

 (未来、良いことが)少数意見から始まることもある 

 実現するには、伝える力が重要 

多数派の側にいても「少数意見にも耳を傾ける」ほうが、みんなが幸せになれる可能性が高くなる 

ということが私の伝えたい話でした。

 ここは、討論よりも主に私から皆さんに話をするコーナーでした。

 出前授業で話したことに文章をだいぶ補足して解説し、この記事にしました。

 さて、この授業も最終盤。
 時間も押してきましたが、実際の政治テーマを2つ討論してもらいました。

「大学授業無償化」
「カジノ解禁?」

の2つです。これはいろんな意見が出ました。(つづく)
 

神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹                     
 

 

【3】高校への出前授業「18歳選挙権」行ってきました~その3 [だから,今日より明日(教育)]

 その1 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
 その2 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1

 神戸鈴蘭台高校での出前授業、続きです。

 この出前授業中は、学校と放送部との協力によりある演出をしていただきました。

 例えば、

「あなたは大学授業料無償化に賛成!」

みたいな質問に対し、会場では、

賛成の生徒  ピンクの札
反対の生徒  ブルーの札

を上げてもらいます。

 そのピンクとブルーの札の上がり具合を、前から撮った画像(全体像)がそのまま前の大スクリーンに映してもらっています。

 選挙では、一人一人は一票。
 その集合が、選挙区の、国の、そのときの何らかの答えになる。
 
 それと同じようなイメージをこの出前授業でも作れたら、というコンセプトで、学校側に工夫していただいたのがこの演出。
 前向きで、エネルギッシュな先生、生徒さんたちの工夫に、素晴らしいなあ、と思いました。

 
 さて、授業のテーマは

テーマ3 選挙に行ったら何が変わる?(「人生が変わる?」)

に進みます。

 ここは、いちはやく今年の選挙に行った3年生の2人から、「経験談」をきいてみます。

「大人になった感じがした」  →  この「感じ」、感覚はとても大事なものだと思います!
                      社会の一員という感覚で生きる、というのが大人ですもんね。

「投票したことで、(政治)ニュースに関心が増した」 「投票した相手に関係するニュースは、『耳に入ってくる』」                   
                   →  私も、初めて投票した後は、それを感じました。
                       これは大きいと思います。
                       
 今までスルーしていたニュースが、投票すると「自分の投票した○○党」のニュースになります。
 
 そうすると、

「ああ、○○党に投票してよかったな。いいことしてくれているな。」

ということもあれば、

「○○さん、何してくれてんの!?私が一票を入れたのに(怒)」

とか。
 これが一種の「大人のニュース感覚」です。
 自分にとって「関心あるニュース」「面白いニュース」の割合が増えるので、大げさに言えば、人生少し楽しくエキサイティングになります。

 さて、そうすると、投票した結果が自分にとって「失敗」ということもありえるわけで、それなら投票に行くのも怖いことじゃないか、と思う人もいるかもしれないが・・・という話もあるのですが、そこは、

「(衆議院なら遅くとも)4年後にまた選挙がある」
「次の選挙で、もっとよく考えて投票するための材料、経験にするのがいい」

との先生からのアドバイス。
 
 そうです。
 間違った、失敗したとしても、オリンピックのごとく「4年後がある」。

 政治、選挙は、絶対の正解がない世界。
 試行錯誤、トライアンドエラー、あって当然。

 「何党がいいのか、だれがいいのか、自分が絶対正しいという自信がない」のは18歳も、41歳(私)も、70歳も同じです。
 それでも、

そのときの自分の考え、感覚に近い投票をしてみる

というのが選挙を通じての政治参加です。
 それでいいよ、という話でした。

 あと、先生から、選挙権の意味について大事な指摘をしていただきました。
 私が、これは説得力あるなあ、と思った話。

「税金は投票に行かなくても納めなければならない。
 では、その税金の使い道について、意見を言わずに、国に政治家にお任せでいいですか?」

「お金だけ渡してどうぞ自由に使って、で本当にいいですか?」

というメッセージ。
 「渡したお金(税金)は、できるだけこういうことに(例えば、教育、子育て、地元産業の振興など)使ってよ」という意思表示をする貴重な機会が、選挙での一票です。
 この問いかけ方は、今後も私が同じような出前授業や講演をするときは使わせてもらおう、と思いました。

 90分の授業。
 全校生徒ともなると、どうしても体育館で床に座る形です。
 これは長丁場なので、足腰にくる・・・
 60分経過のところで、一息入れてストレッチをしていただき、後半戦へ。

 私が大切だと思っている話を次に。

テーマ4 表現の自由~少数意見は大切?
         (あの大ヒット映画の一場面も関係ある!?)

へと(つづく)

 神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹                     
 

 

【2】高校への出前授業「18歳選挙権」行ってきました~その2 [だから,今日より明日(教育)]

 その1はこちら http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16

 テーマのその2は「選挙に行くための情報をどうやって入手するか?」です。

 生徒さんに聴いてみました。思いつく限り…

 テレビ
 新聞
 街頭演説
 政党や政治家のホームページ
 フェイスブック
 ツイッター
           などなど

 で、入りやすそうなテレビの「討論番組」などはどう?と聴いたら、一番よく観られているのは、

「そこまで言って委員会」

でした。(私なんかは、今もつい「たかじんの」を入れてしまいます。)


 「討論番組は面白いか?」に対する生徒さんの意見は、「YES」「NO」に綺麗に分かれました。少し「NO」の方が多かったか。

 何が面白いか?訊いてみました。

「大人が真剣に怒っている姿が」 → なるほど!
「自分と反対の人の意見を知ることが出来る」 → これは大事ですね。

 討論番組に対する高校生からの素直な感想。

「大人なのに『喧嘩』みたいになっているのは恥ずかしいのでは?」 → はい(大人より)。


 本当は、政治の話は「どうやったら世の中良く出来るか」という知恵を出し合う話。
 ですから勝ち負けを決める「口げんか」ではありません。
 ということは、冷静に、「紳士淑女」で議論できるはずですよね。
 …でも、真剣に考えれば考えるほど人は「熱く」なります。
 そうすると、ついつい「喧嘩みたい」になってしまうことがあります。
 これ、歳関係ないんです…いくつになっても、つい「熱く」なってしまうものなのです…
 人間だもの…ですね。


 さて、選挙に参加しやすくするためのインターネットを使った新しいツールがありますよ、という話をしました。

ボートマッチ
と呼ばれるものです。
 
ウィキペディアの説明 は ↓のような感じです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%81

 例えば、毎日新聞えらぼーと 2016参院選 http://vote.mainichi.jp/24san/ など。
 
 幾つかの質問に選択肢で答えていったら、各政党のマニフェスト・公約と照らし合わせて、

「○○党とあなたの相性   52%」

という風に診断してくれる、というサービスです。

 演壇に上がって討論して頂いた生徒さんには全員事前にやってもらっていました。
 全校生徒の中でも、(この出前授業の予習として)試してみた、という方がいました。

 生徒さんの意見は、

「こういうインターネットサービスは面白い。」
「手軽で楽しい。」
「政党や候補者を知るきっかけになる。」

というものでしたが、

「(相性の良い政党ということだが)知らないマイナーな政党が出てきてどうしたらよいか分からない」

という状態になったという人もいました。

 さて、スマホでも手軽に試せる「ボートマッチ」などで「相性の良い政党」が出てきたら、

もう、まっすぐ、その政党にすぐ投票しますか?

という問いを発してみました。

 さすがに、「そうします」という人はゼロ。

「『ボートマッチ』で『オススメ政党』と出てきても、実際には考えの合わないこともあり得るから、『政党』や『候補者』のホームページなどをよくチェックしてからでないと投票できない」

との生徒さんの意見。

 そうですよね。さすが、しっかりしておられます!
 「ボートマッチ」いわば、「あなたにオススメ(あなたの好みのタイプ)の結婚相手は例えばこんな人」というのを紹介してくれる、までのサービスです。
 では、それを紹介してもらったとして、

即、婚姻届を出しますか?結婚式を挙げますか?

という話。それはやめたほうがいいですよね。
 直接その人と会って話して、お付き合いして、どんな人か確かめないと…。
 
 また、「ボートマッチ」はインターネットサービスですが、どういう仕組みで結果が出てくるかはブラックボックスみたいなところがありますから、「鵜呑み」にしてはいけませんね。

 なので、手軽な「ボートマッチ」などをきっかけとして、

政党や政治家のホームページ、ブログ、ツイッター
関係するニュース

などに入っていくのがいい。
 こうすると、政治の情報、選挙に必要な情報に入っていきやすいかな、と思い紹介しました。

 
 という話をして、次は

テーマ3 投票に行ったら何が変わるか?(人生が変わる?)

という話に入っていきます。
                                     (つづく)

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